ひまわり文庫、2019年10月の新刊〔6013〕2019/10/02
2019年10月2日(水)雨
消費税、どうですか?混乱してませんか?10月になりました。
そんな10月、雨の中、自転車漕いで出勤してきました。
ひまわり文庫10月の新刊。どんどん偏っていきましょう。秋ですきに。
まずは軽いの。ポピュラーなの。
左上。伊坂幸太郎3冊。「死神の精度」「死神の浮力」は、「精度」の方が先に出た短編集で「浮力」が続編の長編。出張中、飛行機の中で読んでしまえる痛快丸かじり。ストレス解消に伊坂幸太郎。脳みその休息に伊坂幸太郎。
先月の新刊でご紹介した「陽気なギャングが地球を回す」の続編「陽気なギャングの日常と襲撃」も期待をまったくもって裏切らない。さすが。
脳みその休息と言えばもう一人。石田衣良。池袋ウェストゲートパークシリーズ「灰色のピーターパン」。安定。こないだ、テレビで石田衣良を初めて見たけど、想像してたのと全然違う、その辺のおじさんみたいなおじさんで、Jr.2号と一緒に驚いたことでした。余談ですが。
さて。下段へいきましょう。下段左端。「地球46億年気候大変動」。ブルーバックスのこの辺のシリーズ、なかなかに面白い。この本も、地球の超長期的、長期的、短期的な気候変動を、その原因探求史とともに解き明かしていく。いろんな説があって、様々な考え方があって、まだ、わかってないことも多い地球の環境。間違い無く言えるのは、産業革命以来の人類の営みは、これまでの長い長い長い長い地球の歴史に中でも特異な時代となっており、ちょっとしたきっかけから大規模な気候変動を起こしかねない、という事実。衝撃的で愕然とする事実に、まだ気付いてない人が多すぎる、という話ね。
「戦国の山城を極める」は、奈良の高取城に始まって、全国22の素敵な山城を、その構造、歴史、姿形、薀蓄をもって解説してます。我が岡豊城も入ってるのがちょっと嬉し恥ずかしい。
これを持って、探検してみたい山と城がたくさん。
「皇室タブー」は、日本人の皇室に対するタブー、そしてタブーに触れる事件史を解説。右翼の、皇室タブーに対する考え方、行動と日本人のありようが、わかります。そして近年の、古典的右翼とネトウヨとの相克、対立。先鋭化するタブー論者たち。
令和への改元に、なぜ、あれほど嬉しがる報道が溢れたのか。色々と考えさせられます。なんか、みんな、皇室を自分たちの思想信条に合わせるように利用しているだけ、みたいにも見えるけど、根は深い。
「しょぼい喫茶店の本」。自分はダメだ。就職活動にも失敗し、生まれてこなければよかった、などと負のスパイラルに陥ってた筆者が、いろんな出会いの中から、喫茶店を開業して運営する話。ネット社会の中では、こんな起業もある。都会の激務の中で鬱になり、どうしようもなくなってた女性が、このパートナーとなることで鬱はどこかへ行ってしまう話も興味深い。
まだ現在進行中ではあるけど、今は、こういう生き方もあるんだ、と共感しきり。
しょぼい喫茶店を開業した場所が、僕が学生時代に下宿してた場所のすぐ近く、というのも何かの縁。今度、行ってみたいと思いました。
そして中段。
「漢帝国」。中国史は割合に好きで、項羽と劉邦の話とか、王莽の簒奪とか、後漢末の戦乱とか、小説などで読んできてたけど、研究者による、諸説諸学説が整理された最新の研究成果による解説は、嬉しいね。漢がいかにして、中国の文化の源流となったのか。漢字。漢民族。漢という国の、中国における重要性。
同じ「漢」がつくけど「司馬江漢」は中国とは全然関係ありません。
この、江戸時代のマルチプレイヤーは、あまり知られてないけど、すごい。おもしろい。平賀源内の強い影響を受け、オランダ語はできんけど、西洋の事情や文化、科学にとんでもない好奇心を発揮、あちこちで文化人と衝突したりしながら、奔放な人生を送る司馬江漢。知らんかったけど、魅力的。
西洋の技術を導入した銅版画は、ビックリするほど細密で、江戸の風景を写真のように蘇らせてくれます。色んなことに手を出し、かなりのレベルまで達するけど一流にはならない司馬江漢。
プライドが高くて気難しくて、でも、憎めない司馬江漢が生き生きと描かれてます。佳本。
「独ソ戦」。
第二次世界大戦というと、僕らにとっては太平洋戦争だし、映画とかでは西部戦線の方がクローズアップされがちだけども、一番悲惨でメインの舞台となったのは、独ソ戦。
ヒトラーとスターリンという個人の異様な性格に帰結させるのではなく、何故、あんな悲惨なことが起きてしまったのかを考えさせられる、本。
ちなみに第二次世界大戦での日本人の死者は、戦闘員で210万人~230万人、非戦闘員で55万人~80万人と言われてます。
それに比して、ソ連では。戦闘員で866万人~1140万人、非戦闘員で450万人~1000万人、飢餓や疫病で800万人~900万人の民間人が死亡してるから、桁違い。
ドイツでも、500万人の戦闘員と300万人の民間人、とされてます。
史上、かつてない規模の悲惨な戦いが繰り広げられた独ソ戦。
2016年12月の新刊で、第二次世界大戦の分厚い本、ご紹介したけど、あれから進んだ研究の成果も、この本では読むことができて、嬉しい。
「捨てる女」。内澤旬子さんは、今まで「飼い喰い」「センセイの書斎」そして衝撃の「ストーカーとの七00日戦争」を読んできたけど、今回は「捨てる女」。このひと、面白いです。昔、市内の「かもん亭」さんでご一緒させて頂いた時は、こんな面白い女性とは思いもよりませんでした。
最後。「世にも奇妙な人体実験の歴史」。
まあ、ひまわり文庫ですきんね。普通の本ばかりだと、退屈してしまう。これはもう、この表題の通り。世の中は、とんでもない好奇心と探究心と実行力と奇妙な行動で、進歩していくのだ。先人の、思いもかけないような、自分の身体を賭けたような実験で、この世界は成り立っているのか。
華岡青洲がちょこっと登場してるのが、嬉しいね。
そんな訳で10月の新刊。秋の夜長は読書の季節。じっくりまったり本を読みたい季節になってきました。今日は雨。雨音を聴きながらの読書も良いね。
いかん。まだ今日は始まったばかり。仕事しなくっちゃ。