亀岩、瓶岩、ハンド岩〔5875〕2019/05/17
2019年5月17日(金)晴れ!
昨日、イタチと蚊のこと、書きました。あのネタも、こないだ、南国史談会の藤本会長さんにご教示いただいたもの。あんな話を、そこで見てきたように話される語り口は、すごい。見習いたいもんです。で、その時に聞いた話をもう一つ。亀岩の話。
南国市亀岩。高知自動車道の南国インターチェンジから、国道32号を少し北へ走り、根曳の坂を登り始めてすぐを左折すると、そこが南国市亀岩。そこはかつての参勤交代道でもあり、古くから栄えた集落ね。
その中心部を流れる瓶岩川。そこに、ハンド岩と呼ばれる岩が、鎮座まします。ここ。今朝、出勤途中に立ち寄って撮影してきました。朝、4時半のハンド岩。
「ハンド」とは水瓶のこと。広口の水瓶。その水瓶を逆さにしたような岩なので、ハンド岩。
昔。イザナギ、イザナミが国産みをした頃なので、古いっちゃあこれほど古い話もない訳だけども、イザナギ・イザナミの間に生まれた神様に、大山祇神がおりました。その娘に、木花之開耶姫という神様がおります。コノハナノサクヤヒメ。いろんな漢字で書かれるけど、とにかく美しい女性の神様。
その木花之開耶姫が、この地にやって来て、住み着いた。何でかは、知らんけど。その神様、お酒が大好き。なので、瓶岩川の水を汲み、この大きな瓶(ハンド)でお酒を造って飲んでおったそうな。ところが。お酒ができあがる頃になると、いつも、瓶の中が空っぽになってしまう。あるはずの酒が、ない。というのは、酒飲みにとっては許しがたいことだ。そこで調べてみたら、大きなガマガエルがやって来て飲んでしまいよった、ということが判明する。激怒したんでしょうな。酒の恨みですきんね。
で、木花之開耶姫。いくらここでお酒を造っても仕方がない、ということで、その瓶(ハンド)を逆さに伏せて、引っ越して行ってしまった。
この岩は、その、瓶だった岩。いつしか亀岩になり、ここは亀岩という村になった、という話ね。
木花之開耶姫の引越し先は、ご存知朝峯神社さんだ。高知県内の酒造家に大切に尊崇されている朝峯神社さんの御祭神は木花之開耶姫であるのはご承知の通りで、その拝殿裏手の女人禁制の古い石段を上がると、大きな女陰岩の御神体が鎮座まします話は、以前にも書いた通り。
未明のハンド岩。
亀岩から奈路、上倉にかけては、美しい棚田で有名。棚田ではないけど、この近くにも田植えが済んだ美田があって、カエルの鳴き声が聞こえてくる。もう、お酒はないので、ガマガエルも寂しくなりました。女性のお酒を飲んでしまって激怒させたガマガエルのその後の運命は気になるところだ。だけども、ちゃんと、川のこちら側にクツヒキ岩というのがあって、祀られていたとのこと。今も祀られているかどうかは、今朝はよう確認しませんでした。クツヒキはガマガエルのことね。
この話、高知の女性がとっても酒飲み、という事実とリンクしているので、今一度、もっともっと人口に膾炙にしても良いと思いました。
昔まっこうさるまっこう。