お狸さま、ハチスさま、観音さま〔5547〕2018/06/23
2018年6月23日(土)小雨
うっかり。
もう、夏至、過ぎているではないか。今年の夏至は6月21日。徳島の朝が夏至の朝でした。朝の鎮守の森ではトンビがピーヒョロ。この季節、トンビは繁殖期を迎えてます。
ここは今朝、出勤途中にお参りした、八州大膳神社。五台山に南、八州池の畔。八州の観音様、ハチスさま、お狸さま、とも。
道路脇から降りていく石段があり、池の畔に、拝殿。池には朱塗りの六角堂。こんな感じで、風情抜群。
観音様のお堂であったのは、いつ頃からか。観音様でもありますが、ここはお狸さまとしても、有名でした。
明和安永の頃、と言いますき、江戸時代半ば。天明の少し前。今から250年ばかり、前か。
伝説には幾種類かあって、複雑ですが、いくつかを整理統合してみると、こんな感じでしょうか。
五台山竹林寺に万慶(滿慶)さんという律師がおりました。万慶さんが伊予へ修行に行った帰りに、一匹の狸が、万慶さんの徳を慕ってついてきてしまったんだそう。そして竹林寺に居ついたが、退屈紛れにいたずら、悪さをするので、皆、困りました。そこで万慶さん、八州の観音様の場所へ狸を封じ込めたという。そうすると、狸はいたずらしなくなり、観音様も一躍有名になり、詣でる客も増えました。
しかし。
万慶さんが没すると、狸は再び悪さを始める。いたずらをしでかす。
五台山には、狸にまつわる話、多いですね~。
昭和3年。小さな祠であったが、ここが「浦戸湾十景」の候補地となるや、地元の人々や水商売関係の皆さんがお金を出してお通夜堂、拝殿をつくりました。そして、大変な賑わいを見せたと言います。以前も書いたけど、狸はタ抜きで、他に抜きん出るということから、特に女性の商売人に尊崇されたと言います。
なのでなのか、稲荷神地などの、女性経営者や楼閣の経営者が、信仰したと言います。
昭和3年に御寄進した皆さんの名前が刻まれた玉垣や柱が、道路から拝殿へ降りていく途中にあります。この写真のように。
ボストンスタンドという、まあ、ハイカラな名前も見える。カフェーでしょうかね。鳥居の脚の左に玉島楼。実は、このにっこりに幾度か登場した潮江の農家、潮江雪太郎さん(仮名)のご先祖様が、この玉島楼の経営に関わっていたらしいことが最近判明。世の中、狭いです。本当に。
土佐の花柳界の信仰を集めた観音様、お狸様。
狸の伝説には事欠きませんが、その話はまた今度。
なんでも、田中貢太郎ら博浪沙の一党が、昭和初期、ここで文筆の健在を祈って酒杯をあげたことで有名なんだとか。なるほど。
稲荷新地で、観音様、お狸さまの話を聞きつけたんだろうか。良い時代の、良い話。
そんな話が満ち満ちている、大膳神社。八州の観音様。ハチス様。お狸さま。