ひまわり文庫、2018年6月の新刊〔5526〕2018/06/02
2018年6月2日(土)晴れ!
梅雨の晴れ間はつづく。
良いお天気の6月。ひまわり文庫6月の新刊をご紹介しよう。
4月の誕生日に社員さんたち有志がプレゼントしてくれた図書カードで買った本の一つ「天空の地図」。こういうことでもないと、なかなか買えない美しい本。太古の昔から現代に至るまで、人類が、この宇宙を、天空を、どのように考えていたのかが、美しい絵とともに体感できる本。科学の進歩と、宇宙観の変遷。面白いです。
その左は、家にあった西澤保彦さんの「下戸は勘定に入れません」。酒飲みの西澤さんらしい、そして本格ミステリの技巧派である西澤さんらしい、読後感が素晴らしいミステリ。
高知市内に在住しながら、どんどんと上質のミステリを生み出す西澤さんのこれからにも期待したい。また、一緒に飲みにいきましょう!
その右。「創られた日本の心神話」。
これね、大阪の大学に通うJr.2号が父の日に送ってくれた、本。もう一冊あるんだけども、さすが、僕のツボをよく心得ておる。良いぞ。
この輪島祐介という先生、「演歌」というジャンルが今の形で形成されたのは、実に最近のことであり、演歌が、昔から連綿と続く日本人の心である、というのは表現が間違っている、という考察。日本の流行歌、歌謡曲、そして演歌の歴史を検証していく佳本。Good Jpbだ、Jr.2号。
「外国人をつくりだす」は、在日朝鮮人の若い女性研究者が、戦後、日本国籍を持ちながら「外国人登録」を義務付けられ、「外国人」とされていった朝鮮人の歴史を、文献をもとに検証していっている本。戦後、朝鮮半島へ帰っていった人々が、朝鮮半島の混乱の中、今一度日本への渡航を図り、「外国人」として排除されたり、日本に暮らす家族の元へ帰ることができたり。
どうして、日本国籍を持ちながら「外国人」になっていったのか。色々と考えさせられる本でした。こんなことも知っておかなくっちゃ。
「上を向いてアルコール」。この小田嶋隆というコラムニスト、面白い。自分が「アル中」になった経緯。アル中の時には、自分をアル中とは思っていない、という話から始まり、良いお医者さんに出会ってお酒をやめることに成功、今に至る、という話。決して美談、苦労譚ではなく、かなり自虐的に、面白い文章で、お酒との付き合い方を考えさせてくれる本だ。面白い。
ついでに買った小田嶋隆の「超・反知性主義入門」も、面白うございました。
一つ飛ばして「身近な野菜の奇妙な話」。まあ、気楽に読める雑学本。植物、野菜の生存戦略と、人類にとっての活用法。
宮本常一の「イザベラ・バードの日本奥地紀行を読む」。金高堂で見つけて、買ってしまった。ご存知「歩く巨人」と言われる民俗学者、宮本常一さんが、明治の初めに一人で東日本を旅した英国人女性、イザベラ・バードの日記、手紙を読み解き、その頃の日本の民俗を解説する。面白く無いわけ、無い。これも、ツボ。
同じく金高堂で買った「陰謀の日本中世史」。「応仁の乱」で大ブレイクした呉座勇一が、文献や最新の研究に基づく、正しい中世史を、正しい迫力をもって、力説する。
陰謀説や、最近よくある「本当の歴史はこうだ」的なトンデモ本を一蹴し、歴史との正しい向き合い方を教えてくれます。応仁の乱が売れた理由も、この本を読むと、理解できます。
最後。中程の「元禄御畳奉行の日記」。こないだ一度ご紹介した、実家にあった亡き父の蔵書。
元禄の頃、尾張藩の中間管理職だった朝日文左衛門というゆかいな人物が、18歳から亡くなる44歳まで書き続けた、8863日分の、日記について解説した、中公新書。
公開を目的としてないので、まあ、書いてあることが赤裸々。つまり、当時の人々の心情や世の中の実相を見事に捉えている訳だ。
この当時の役所の中間管理職。仕事、してません。のんびりゆったりのったりまったり。それで成り立つ日本の社会の仕組み。すごいと思います。
ぜひ、ご一読してもらいたい、奇本。
そんな訳で6月の新刊。また、数学とか宇宙論の話、ありませんでした。おっと、地学ネタも無いのか。そんなこんなのひまわり文庫。