帯屋町の喫茶店か映画館〔5353〕2017/12/11
2017年12月11日(月)晴れ
昨日は夕刻雨で、今朝もまだ、雲が多い空模様。なので、比較的暖かい朝になりました。
ここは今朝、4時半頃の五台山。八洲池と下田川の間の堤防上から、五台山方面を撮影。この向こうはタナスカ。右手の橋は雄幸橋。そう。ここから東へ行った唐谷に生まれ、この南にあった孕小学校に通った浜口雄幸さんにちなんだ名称の、新しい橋。
こないだ、ある高知県人の方を車に乗せて走っておりまして、ここに浜口雄幸さんの生家がある、と話をすると、それは誰?と言われて愕然としたことを思い出します。今の世に必要なのは、浜口雄幸さんのような矜持の政治家なのに。
それはともかく五台山。
昨日、龍河洞のことを書きました。そして、洞窟バカのことも。いや、この本、正確には「洞窟ばか」でしたね。今、ひまわり文庫で確認してみました。この著者の吉田さん、本当にすごい。隙間があれば、潜る。圧倒的な暗闇の先に何があるのか。わからないから、楽しい。
本当、若い時にこんな本に巡り合っていたら、僕も嵌っていたのかも知れません。
それはともかく、昨日も書いたけど、洞窟、特に鍾乳洞は、石灰岩質の山で、水が豊富に流れている場所にできると、吉田さんは自身の体験から語ってます。龍河洞なんか、その典型。
では。五台山はどうなのか。
五台山、南東部の斜面には石灰石の採掘場がありました。今は採ってないけど。でも石灰石の鉱山があったということは、石灰岩層を抱えた山であることは、事実。
大きな洞窟ができるには、あとは水だ。
でも五台山、標高131mと、それほど高くない独立峰。なので、それほど大量の水が流れている山ではありません。だから、期待はできんのか。
でも、こないだ、高知の地質調査会社の社長さんと話してましたら、五台山の牧野植物園の依頼で、穴の調査をした、との貴重な情報。なんでも、奥がどうなっているのかわからない深い穴があるので、リモートカメラを突っ込んで調査したんだとか。人間が入れるような穴ではなかったので。
なるほど。
その穴がなかり奥まで続いているようなら、ぜひ、吉田さんに探検してもらいたい。こんなところ入れるか!と思うような狭い隙間でも、強引に潜り込んでしまう吉田軍団なら大丈夫。
五台山に深い洞窟がある、てなことになったら、これは楽しいどころの騒ぎではない。
五台山には、弘法大師ゆかりの独鈷水という水場があり、その下には滝のように水が落ちていたとの話しもあります。
石灰採掘場の近くの山腹には、水量豊富な「竜王の池」という池もあったと言う。
今は枯れていても、かつて、豊富な水が流れていたことが大切。洞窟は、長い長い地球の営みによってできるから。
五台山だけでなく、稲生の石灰山をはじめとして、高知には石灰岩質の山がたくさん。そして何より、雨が多くて水が豊富。どっかに、すごい鍾乳洞が隠れている可能性は高いと思います。いや、間違いなく、ある。
商売でもそうですが、身近なところに、すごい価値があるものが眠っていたり隠れていたり。それに気付くには、人がやらない、人が思いつかない発想と努力が必要。でも、それに気付いたら、そこには大きな未来が拓けている。
ああ。朝っぱらから洞窟と人生を考えてしまった。
軽い蛇足。
あの五台山のこちら側麓に三石という集落があります。そこに「こんこん岩」と呼ばれた畳一枚くらいの平たい岩があったそうな。たたくとコンコンと音がするので、こんこん岩。
ここからは、こないだ入手した昭和27年に書かれた「五台山誌」の記事からの転載。そのまんまの転載。
「其処に夜な夜な狸が出ては綺麗な娘の子に化けて出ては若い連中を呆然とさせたとのことである。然し実際は坂本の娘と八丁の若い衆と、坂本の若い衆と八丁の娘とが、此の石を目当てに逢い引きをし、昔は下田川は殆ど此処迄深くはいりこみ人家からは比較的離れていたので人の目を盗むのには絶好の場所で、又大きなこんこん岩と呼ばれる目標があったので、現在の帯屋町の喫茶店、映画館以上に利用された訳である。夜のとばりがおり始め、人目をしのぶのに良い頃ともなれば示し合わせたように逢い引きがここに現れて、互いに恋を囁き現実感を味わった訳で、其処が昔は比較的淋しい場所であったが為に、何でもすぐ妖術化される昔では其れがいつの間にか狸の仕様であると云う様に話され語られたものであろう。あねさん狸、なんとロマンチッックな狸であることよ。」