キノコと文明〔5234〕2017/08/14
2017年8月14日(月)晴れ
昨日、キノコの話を書きました。今朝は、昨日ご紹介した潮江天満宮の本殿基礎脇のキノコを、反対方向から、シャッタースピードを遅くして撮影してみたでござる。今朝、4時前の静かな静かな天神様。昨日写っていた葉っぱが、今朝もそのまんまだ。
向こうには牛の母子像。天神様ゆかりの、牛の臥像だ。
で、キノコ。
僕らが普通に認識するキノコは、繁殖のための子実体。このニョキっとしたのが、そう。で、本当の意味でのキノコは、この子実体をつくる菌(微生物)の総称だ。土とか倒木に張り巡らされた菌糸が、その主体。
その微生物は、土中や倒木の有機物を食べる。すると、その有機物は分解される。倒木が腐っていくのは、そういうことだ。
倒木は微生物によって分解される。それが「腐る」ということ。そして土に戻っていき、また、そこに新しい樹木は育ってゆく。自然のリサイクル、循環だね。
この循環が成り立っていくと、自然はうまく安定してまわっていく、という訳だ。
ところが、今から4億年前から2億5千万年前にかけて、異常事態が発生した。この、我々の地球に。
4億年前は、大気中の二酸化炭素は今の10倍。なので、かなりの温暖化が進んでいた。暑かった地球。
その時代に、シダ植物が繁茂する。当時のシダは巨大化し、樹木となり、そしていつしか、倒れていく。そこは湿地帯で、酸素が少ない状態に斃れたシダ樹木は泥炭地となり、二酸化炭素を土中へと固定化していったのであります。
更に。
その後、シダ樹木に変わって登場したのが裸子植物。イチョウとかマツとかスギとかの祖先ですな。その新しい植物は、硬い硬い不思議な物資、リグニンで武装している。これにより、より高い樹木になることができ、また、虫などに食われないのだ。
そのリグニンは、当時の微生物には分解できんほどの、不思議なほど強力なもので、倒木は微生物で分解されず、地中に大量に残され、泥炭となり、それが現在では石炭になったというストーリー。
そして、大量の二酸化炭素が地中に固定化された訳だ。
で。そんなこんなの営みの末、3億年前には、大気中の二酸化炭素が激減し、代わりに酸素濃度が激増、現在の2倍近い濃度となったのであります。すると、どうなるか。
気温はどんどんと低下する。そして、高い酸素濃度に順応して、昆虫が巨大化する。
60cmのトンボとかはまあ、今見たとしても許そう。
でもね。1mのゴキブリはどうだろう。ゴキブリは比較的大丈夫な僕でも、ちょっと、怖い。そして2mのムカデ。これはもう、嫌。
リグニンを分解する微生物が登場しなければ、その状態がずっと長く長く続いていたのか。地球上は酸素濃度の濃い大気に覆われ、あちらこちらで大規模な山火事が発生する中、森には巨大な昆虫が跋扈する。そのうち、巨大昆虫が進化して知能を持つようになり、地球には、節足動物による文明が登場。
その文明を担うのは、知恵のある、蜂のような節足動物かも知れない。
ジャングルの巨大ムカデは、彼らの狩りの対象になり、そのうちに絶滅が危惧されるようになった。かも知れない。
いかん。妄想が・・・
実際は、リグニンを分解する微生物が登場した。昆虫の支配する文明は生まれなかった。
当初、ほとんどのキノコはリグニン分解能を持たなかった。が、2億5千万年前に、白色腐朽菌というキノコのグループが現れ、どんどんとリグニンを分解、石炭蓄積時代は終焉を迎えることになったのでありました。良かった良かった。
白色腐朽菌とは、サルノコシカケ、シイタケ、マイタケ、ナメタケなどなど。美味しいキノコ、人の役に立っているキノコには、この、地球の環境を一変させた白色腐朽菌が多いんだ。
彼らは、他のキノコが持たなかったリグニン分解能を持つ、という能力を特化させることで、自分たちが生きて行く道を切り拓いていったと言えよう。
そう。
他ができない力をつけ、その力を磨く。大切な成長戦略。
これは、我々が、商売をやっていく上でもとても大切な戦略。昆虫文明が繁栄する前に、僕らも頑張らなきゃね。