靄と感傷〔4915〕2016/09/29
2016年9月29日(木)晴れたり降ったり曇ったり
ああ。いつまで続くのでしょうか、こんな天気。まあ、蒸し暑いので、良しとしましょう。
とにかく湿度は、高い。
昨夜、久々に会社から走って帰りましたが、まあ、蒸せること。汗が滝のようで、履いている靴が身体から滴り落ちる汗でビショビショになり、走っているとグッチャグッチャ音がするくらい。そんな蒸し暑さでした。でも、久々で心地良かった〜
そんな湿度なので、今朝の鏡川には靄。中の島から九反田橋方向を撮影してみました。靄の中に浮かび上がる風景。
ここ中の島は、元々は棒堤で、鏡川河口に突き出していた、自然の浅瀬と洲。そんな時代の風景を想起させてくれる、今朝の鏡川。
靄。もや。
靄で思い出すのは「靄と感傷」でしょうか。たぶん、ご存じの方は、ほとんど居ないと思います。ビル・コナーズというギタリストのレコード。
ビル・コナーズと言うと、チックコリアが結成した、かの伝説のユニット、「リターン・トゥ・フォーエバー」で、アル・ディ・メオラの前のギタリストだった人物。「第7銀河の讃歌」のギタリスト、と言えばおわかりだろうか。
そのビルが、アコースティックギターで実に感傷的な音楽を奏でているのが、「靄と感傷」。こんな素敵なアルバムデザインでした。1977年リリースなので、僕がまだ高校生の頃か。
この当時の、ECMレーベル特有の、不思議な透明感とロマンチシズム。ああ。堪らない。
「靄と感傷」、参加メンバーも、僕にとってはツボの中の、ツボ。
サックスが、ヤン・ガルバレク。ああ。僕は自分がサックス吹きであるのに、自分と対極的な演奏をするヤン・ガルバレクが、大好き。
ベースはゲイリー・ピーコック。日本にもお忍びで住んだことがある、不思議な雰囲気を奏でるベーシスト。
ドラムはジャック・ディジョネットだ。もう、僕が一番好きなドラマー。
で、「靄と感傷」。
このレコード、大学生時代、どれだけ聴いたことか。夜、寝る前に聴くのが好きでした。落ち込んでいるときは、どこまでも落ち込ませてくれ、いっそスッキリする。そんな音楽。
「靄」と「感傷」ですきんね。
原題は「OF MIST AND MELTING」。
「靄と感傷」という題名を思い出すと、あのレコードに浸って過ごした学生時代を思い出す。そんな一枚でした。
ECMレーベルのヤン・ガルバレクは、「靄と感傷」のようなレコードをたくさん出してます。自分のリーダーアルバムとして。で、バックミュージシャンには北欧系の若手を使ったり、ベテランを使ったり。
でも、僕の一番のお気に入りは「靄と感傷」。
今でもインスタントラーメンと言えば「サッポロ一番」というのと一緒でしょうか。感受性豊かな頃に刷り込まれた記憶。
「靄と感傷」のメンバーは、ヤン・ガルバレクを除いて全員アメリカ出身。ヤンは、ノルウェー出身だ。北欧ミュージシャンの、独特の雰囲気をこのレコードが醸し出しているのは、ヤンによるところが大きい。が、それぞれのミュージシャンの、独特の、かなり個性的な雰囲気が綯い交ぜになって、このレコードを秀逸なものに仕上げています。
お陰で僕は、「靄」という文字、書けます。
このレコードではMISTを「靄」と訳している。
MISTは、もや、かすみ、霧などと訳せるようですが、やはり靄でしょう。漢字で。この邦題をつけるセンスも、秀逸。今ならそのまんま「OF MIST AND MELTING」という題のCDにするところでしょう。それを「靄と感傷」。素晴らしい。
鏡川の靄を眺めながら「靄と感傷」を思い出し、なんとなく感傷的な気分に浸る、朝。