炭素循環の風景〔4733〕2016/03/31
2016年3月31日(木)晴れ!
良いお天気。
昨日、後背湿地とナベヅルのことを書きました。湿地と言えば生物多様性。今、地球は、生物多様性の危機を迎えていると言います。
今から6500万年前、おそらくは巨大隕石の衝突が原因とされる大量絶滅が地球上を襲い、恐竜やらアンモナイトやらが地球上から姿を消しました。大量絶滅。
このにっこりでな何度か書いてきましたが、その前のペルム紀末の大量絶滅は、それよりも遥かに規模の大きい大量絶滅で、90%以上の種が絶滅したと言われます。
原因にはいろんな説がありますが、大規模な火山活動による二酸化炭素濃度の上昇などが有力。
で、地球上では、今までに5度の大量絶滅があったと言われちょります。
以前、世の中は「べき乗則」で成り立っている、という話を書いたことがあります。ほとんどの生物が絶滅してしまうという大事件は、何か一つの原因だけで起こるものではない。隕石が、全部の種を滅ぼす訳ではないんですね。それはキッカケ。
巨大地震や雪崩のように、最初は小さなズレや歪み。それがあるとき連鎖反応を起こし、とんでもない規模に拡大していく。べき乗則で。それは、この世の中の摂理、という話。
そんな意味で、現代は、人間の営みが引き金となって6度目の大量絶滅に転がり始めている、というかなり有力な説があります。地球上に今まで起こってきたことに鑑みれば、至極まっとうな話。
今までの大量絶滅も、きっかけは、それぞれ違っていた。しかし、些細なキッカケから、制御不可能な大規模絶滅へと雪崩て行ったのが、地球であるとするならば、今の状態は大量絶滅が始まっていると見ても良いのかも知れない。
現在が大量絶滅の時代とすれば、一番の原因は、二酸化炭素でしょうか。
過去の大量絶滅も、多分に、二酸化炭素濃度増加による温室効果によって引き起こされたとされますので。
生物は、炭素が主たる材料。炭素は、地球にとってとてつもなく大切な元素。その炭素は、地球上を循環する。植物が二酸化炭素を吸収してエネルギーとして蓄え、それが、動物に食べられたり土に戻ったりして、また大気へと戻って行く短期循環と、生物などに蓄えられた炭素が石灰岩などの岩石になり、プレート運動で地下深く引きずり込まれていって高温高圧になり、再び火山噴火などになって大気へと戻ってゆく長期循環。
その循環のバランスが壊れると、ちょっとしたきっかけで二酸化炭素濃度が変化し、地球環境に強烈な影響を与える。ある生物がそれによって絶滅すると、連鎖が始まって大量絶滅になるかもしれない。
そんな炭素循環の風景が、この写真にあります。
向こうに見える三宝山。秩父塁帯南帯で、2億年昔に太平洋沖で形成されたサンゴ礁が石灰岩となり、付加帯として盛り上がって、あの山になった。
石灰岩の多くは地中深くに沈み込んでしまうが、あのように、陸側プレートに付加して山となって盛り上がるケースもあります。地球の炭素の循環が、あそこに露出しちょります。
手前は田植えの済んだ田んぼ。美しい風景。
田んぼは、実は、二酸化炭素を増加させてしまうと言う。やはり、人間の営みというのは、どうしても二酸化炭素を大気中に増やす方向に走ってしまうようです。
6度目の大量絶滅は、人類という生物を生み出した地球の宿命なのか。
それとも知恵と努力で回避する方向に向かうのか。