深山に、ひとり〔4700〕2016/02/27
2016年2月27日(土)晴れ
今日は久々の、山。
この冬、キチンとした登山をしたのは、1月10日に汽車に乗って梶ヶ森登山に出掛けた時くらいでしょうか。四国山地の主脈に登るのは、いつ以来でしょうかね。本当に久々。
まだ2月ですが、今年の気温とかだと、三嶺界隈の主脈も、雪山素人の小生でも登れる状況なのではないかと思い、行ってみました。
とは言え、三嶺はやめちょいて、目指すは躄峠。いざり峠。
そう。今年になって何度かご紹介した、躄峠。標高が1780mあって、四国の峠では一番標高が高いとされる躄峠。いざり峠。こないだご紹介したように、その名称の由来はこう。
「昔、巨人がこの峠を越えようとしたところ、あまりにも高いために頭が空につかえて越すことができないので、這いながら越えたという伝説からこの名がついたという(東祖谷山村誌)。」
現在の地理院地図には天狗峠と記載されちょります。
そこへ行ってみよう!
ということやったのですが、色々ありました。
朝、家を出て、いつもの光石登山口に車を停めます。そこから四国山地主脈のてっぺん、標高1670mのお亀岩まで、登りました。途中から雪もあっったので、4本爪の軽アイゼンを装着。あれ?スパッツがない。登山のスパッツは、膝から下を包むもので、雪深い場所では、それをやっちょかんと雪が靴の中に入ってきて冷たビショビショになってしまう。
ああ。用意しちょったのに、リュックに入れるのを忘れてきた訳だ。
お亀岩から躄峠へ向かう尾根道は、雪が結構深い。ガスが出てきて、しかも強風。今にも吹雪きそうな気配。そんな状況で、携帯に電話が。そう。県境の尾根まで登ると、徳島県側からの電波が入るんですな。で、急に、15:30までに高知市内へ帰らんといかんなってしまいました。
躄峠へはあと少しでしたが、断念。時間が、ない。飯も食わんといかんし。
そんな訳で、お亀岩の避難小屋へ引き返し、お湯を沸かしてカップそば。身体を温めちょいて、一気に光石まで駆け下りました。ビュンビュン。
ところで、お亀岩の避難小屋。もちろん、泊まれるようにもなっちゅう無人の小屋で、薪ストーブもあったりします。その小屋に入って、お湯を沸かしたりしよりました。小屋の外で音がしたので、そちらを見ると、裏口のところを何かが通り過ぎていった。ん?
ヒトか?獣か?
そちらに行って、裏口を開けて、見てみましたが誰も居ない。地面は雪なので、ヒトや獣が通れば足跡がつくはずだが、何も、ない。いったい、あれは何だったのだろうか・・・
それはともかく、躄峠は残念でしたが、またの機会だ。
しかし、大自然満喫。道中、誰一人、出会いませんでした。大自然独り占め。この深い山に、ただひとり抱かれて過ごす時間。一番好きな時間かも知れない。
人間には会いませんでしたが、登る途中、カモシカには会いました。
まだ、そんなに標高は高くない場所。歩きながら、ふと右手を見ると、黒い獣。心臓止まるかと思いました。小生から6〜7mくらいの距離でしょうか。じっと立ったまま、黒い獣がこちらを見つめているではないか。カモシカでした。突然現れたので、ビビリましたが、カモシカ。全然こちらにオジることもなく。静かに立ったまま、こちらを見つめるカモシカ。時々、向こうの景色を悠然と眺めたりもする。
決して、人間が自分を襲うことはないと、確信しちゅかにょうな自信にあふれた態度。なので、ゆっくり写真も撮れました。
普通のシカは、この山にはどっさり居ります。今日も何度か見ました。しかし、彼ら彼女らは、人間からはかなりの距離を取っており、遠くの林の中を走り抜けていくばかり。
しかし、カモシカは逃げない。悠然と立ったまま、小生が再び登山を始めるのを見送ってくれたのでありました。
頑張って駆け下りたので、用事には間に合いました。この季節に主脈は始めてでしたが、良い登山でした。