冬のさそり座〔4290〕2015/01/13
2015年1月13日(火)晴れ
昨日の「赤鬼山登拝記」の補足。
日本書紀の、斉明天皇7年5月9日条に書かれちゅう内容は、これ。訳文文責小生。
「天皇、朝倉橘広庭宮に遷りて居ます。この時に、朝倉社の木を伐り除いて、この宮を作る故に、神怒りて殿を壊す。また、宮の中に鬼火見れぬ。これによりて、大舎人及び諸々の近侍、病んで死せる者多し。」
そして、同年7月24日に「天皇、朝倉宮に崩りましぬ。」となる訳です。
これが、土佐の朝倉での話ではないか、という伝説。現在も、橘谷、など、関連がありそうな地名が残ります。
翌月の8月、皇太子の中大兄皇子が斉明天皇のご遺体を磐瀬宮に遷し、喪の儀を執り行う訳ですが、その際。
「この夕、朝倉宮の上に鬼有りて、大笠を着て、喪の儀を臨み視る。衆、皆、これを怪しむ。」
となります。この、鬼が大笠を着て現れたのが、昨日のあの赤鬼山であった、という訳だ。
真相は定かではありません。ただ、ほぼ同時期に、山の麓に大きな古墳が作られ、ヤマトの三輪山とそっくりの形をした山を、神奈備山として祀った訳で、中央政権との深い関わりのある有力者が居たことだけは間違い無いと思われるのでありますね。
さて。
写真は今朝、4:30頃の南東の空。野市、上岡八幡宮さんの参道で撮影しました。参道入り口の鳥居と、杉、クロガネモチの樹の影が見えます。
この写真のもうちょっと上にお月様。左下の、建物横の明るい星が土星。その上には、てんびん座のズベンエルケマリとズベンエルゲヌビ。左側がズベンエルケマリで、北の爪、という意味。右側がズベンエルゲヌビで、南の爪。何の爪かと申しますれば、サソリの爪。
今でこそてんびん座のα星、β星なのですが、古代ギリシャでは、さそり座の一部、サソリの爪、と見做されちょったことに由来します。つまり、当初のサソリは、現在よりももっと大きかった訳だ。手が長い。
さそり座。
左下の土星のちゅっとネキに見えるのはさそり座のグラフィアス。と、言うことはですね、地平線のしゅっと下に赤星、アンタレスがおる、ということになります。もうちょっと遅い時間やと、アンタレスが観れちょります。さそり座のアンタレス。サソリの心臓。赤星。オリオン座のベテルギウスと並ぶ超巨星として有名。太陽の直径の600〜800倍というとてつもない大きさですが、ベテルギウスよりは安定しちゅうので、しゅっと爆発することはなさそう。
さそり座と言いますと、もう、夏の星座。
春の大三角形は、この写真のもっと上、頭上高くに輝きよります。
夜明け前の東の空。季節は、もう、春を通り過ぎて夏が訪れております。静かな静かな鎮守の森から眺める美しい夏の空。