赤蔵ヶ池〔4011〕2014/04/09
2014年4月9日(水)晴れぞな
昨日の夕刻から松山へ行っちょりました。愛媛の松山。で、色々と仕事を済ませて、国道33号線を高知へ向いてイニよります。
国道33号線、美川を抜け、しばらく車で走りよりますと、落出の手前に、鵺(ヌエ)伝説の赤蔵ヶ池、という案内表示が掲げられちゅうがをご存知の方も多いですよね。いっつも気になる赤蔵ヶ池ですが、国道から11kmも離れちゅうとあるので、いっぺんも、行ったことありませんでした。
今日は、高知へ帰りしなに時間がありましたので、思いきって、行ってみたのであります。
国道から入っていく道路は狭く、谷川に沿ってどんどんどんどんと上っていく道。しかし、途中、斜面にすがりつくようにいくつかの集落。石垣で棚田がつくられ、大きな家が散在。感動したのは、その美しさ。
丁度、桜が散り始め、絵に描いたような桜吹雪。そして色とりどりの春の花が咲き乱れ、山からは谷川が音を立てて落ちてくる。まるで桃源郷のよう。そんな集落を抜けて、道はどんどんと標高を上げていきます。
途中から案内表示に従い、左へ折れ、更に標高を上げると、大きな説明板。そっから別れる道を少し下ると、ありました。赤蔵ヶ池。
まず、これを「あかぞがいけ」と読むことを、ここで初めて知ります。説明板に、鵺(ヌエ)伝説について書かれちょりました。
池の大きさは周囲575m。標高は880m。自然にできた池で、現在は農業用水にも使われゆうという池。池の表面は、常に、蒼然と不気味に静まりかてっている、と書かれちょりますが、その通り。実に静かに、しかもかなり不気味に広がる池。
源三位頼政が退治した怪獣鵺(ヌエ)はこの池に棲み、雲に乗って京の空へ往来していた、という伝説。平家物語に登場し、猿の顔、狸の胴体、虎の手足に蛇の尻尾、という外見。「ヒョーヒョー」という不気味な声で鳴いた、とされる怪獣。平安時代末期、天皇の住む御所に毎夜出没し、天皇を悩ませたそうです。それを、妖怪退治の第一人者であった源頼政が、矢竹で作った尖り矢で射殺した、という伝説。
ネットで調べてみますれば、その鵺(ヌエ)は、頼政の母であった、という話もあります。
ここで育ち、京へ上った源頼政くんは、なかなか出世しない。そこで、母は、ここ赤蔵ヶ池で出世を祈ります。
その頃、京では鵺が出没して大騒ぎ。朝廷が退治を命じるも、怖れて誰も退治できない。しかし源頼政くん、見事に退治したので、それをきっかけに出世街道まっしぐらになった、という話。実はその鵺は、頼政の母であり、母を射殺してしまった、という訳です。
もちろん、平家物語に登場し、頼朝挙兵のきっかけになる源頼政が、こんな山深くの出身の訳もなく、単なる伝説ではあります。
しかしこの山深くにたたずむ池。そんな怪しい伝説が生まれそうなたたずまい。周辺は、時折見に来たり遊びに来たりする人の為にキレイに整備されちょります。生き物、豊富でしょうね、この界隈。
誰も居ない池のまわりを静かに歩きよりましたら、森の中から突然、鵺ではなく、ウグイスが鳴き始めました。独特の雰囲気溢れる赤蔵ヶ池。あかぞがいけ、という読み方も、この伝説に相応しい。
今度は、少し暗うなった時間帯に行ってみたいと思いました。すごい雰囲気やと思います。鵺に会えるかも知れません。