へんじょうこんごう言いな!〔3587〕2013/02/09
2013年2月9日(土)晴れ!
良いお天気の朝。結構冷えます。昨日は、高知の平野部でも小雪が舞うたがにはビックリしましたね。初雪。とは言え、小雪。なんとなく、みんなあ、珍しい雪に浮かれちょりました。
ここは潮江橋。潮江橋の上から五台山方面を撮影しました。間もなく夜明け。美しい空と川。五台山のてっぺんに、1本の鉄塔。
潮江橋の上から、この方向を何度撮影したことでしょう。このにっこりでも。ビッシリ、ギッチリ、ご紹介してきました。そして、曾てご紹介してきた写真の五台山には、全部、2本のテレビ塔がありました。地デジに移行し、アナログ放送のテレビ塔であったあの2本の鉄塔は役目を終えたのであります。RKCさんのテレビ塔を取り壊しゆうところを、一度、ご紹介しました。あそこに残った1本の鉄塔。NHKさんの鉄塔は、テレビの電波は発してないものの、FMラジオのアンテナとして、残されちゅうそうです。
あの鉄塔の近くに、名刹竹林寺さん。お四国の、31番札所。文殊菩薩がご本尊ですけんど、弘法大師ゆかりの古い古いお寺さん。もちろん真言宗。真言宗では、南無大師遍照金剛。なむだいしへんじょうこんごう、と、お題目を唱えるがはご承知の通り。四国は、弘法大師ゆかりの地が多いので、真言宗のお寺さんが多いですよね。ですきに、なむだいしへんじょうこんごうは、土佐人にとっても馴染みの深いお題目。
ですきに、屁理屈を言うたり、ヨウダイを言うたりする人に対して、「へんじょうこんごう言いな!」と言います。土佐では。元々、遍照金剛とは、あまねく天下をとこしえに照らす、というような意味でしょうか。弘法大師が、とこしえに、我々衆生を照らしてくださる、という意味かも知れません。ところが、土佐では、「ごちゃごちゃ言いな!」というのを、「遍照金剛言いな!」と言うのであります。お大師さんもビックリ。
あの名刹竹林寺さんには、文殊菩薩像を始め、重要文化財に指定されちゅうような貴重な仏像がどっしこ。しかし、明治維新直後、廃仏毀釈の流れで、お寺は荒廃し、そんな仏像も、とんでもない扱いになっちょって、どこにあるやらわからん、みたいな状況やったそうです。それを、ちょっとずつ取り戻し、復元し、今のような立派なお寺さんにしてきたのは、関係者各位の努力のお陰。
もともと、廃仏毀釈は、新政府の政策でもなんでもなかったがはご承知の通り。新政府が目指したがは、神仏分離。まあ、これも、それまでの日本の文化、習慣、風習、民俗に挑戦する乱暴なものではありましたが、別に、仏教を止めろ、というものではなかった。それを、民衆や俗吏が勘違いし、ヘンな方向に進んでしもうたがが廃仏毀釈。で、文化大革命期の中国が重要な歴史的遺物を廃棄したように、大切な仏像を廃棄したり寺を壊したり、てなことになってしもうた訳です。
時の権力者にオモネり、いきすぎることをやってしまう、どうしようもない官吏は、いつの時代にも居るもんです、まっこと。そして煽られて、ある方向へ突き進んでしまう大衆も。これが、怖いところですよね。
俗吏がやってきて、仏像を破壊しょうとしたりしたら、お寺のお坊さんたちは必死で抵抗したでしょう。その仏像の由来や大切さを、必死に説きながら。それに対して、俗吏は、「へんじょうこんごう言うな!」と言うたでしょうか。
五台山の鉄塔、あの上に登ると、とてつもない眺望であることが妄想できます。ですき、せっかくの鉄塔、取り壊したりせずに、安全な外階段をつくって展望台しして残したらエイに、と思いよりました。それを関係者の方に陳情したら、「遍照金剛言いな!」と言われてしまうでしょうか。