巨木考〔3310〕2012/05/08
2012年5月8日(火)今日も曇っちょります
今日も曇り。景色は霞んで、遠くの山は朧げにしか見えません。ここは今朝の上岡八幡宮。
昨日の高知新聞夕刊に、夜須の観音山のことが載っちょりました。てっぺんの地震碑に、安政地震津波で住民が逃げ登って助かった「命山」であることが刻まれちゅうことを書いてくれちょりました。そう。何度かこのにっこりでもご紹介した通り、あの観音山も、「命山」のひとつ。
観音山の標高は、国土地理院の地図によりますと28m。月見山や手結山まで逃げる時間が無いエリアに住む方は、この山に逃げ登るしかありません。
空港滑走路のところにあった命山「室岡山」の標高は28.2mでした。そしてここ、上岡八幡宮の鎮座まします上岡山は33.9m。
どうやら、偶然かも知れませんが、各所の「命山」は標高30m前後が多いようです。それだけの山であれば、この界隈の海岸線を襲う大津波から多くのヒトの命を救うことができるということがわかってきます。
さてさて、この、八幡様参道入り口に屹立する巨木。どうやらクロガネモチということのようです。右手の鳥居の大きさと比較して、かなりの巨木であることがおわかりいただけると思います。
いかがですかね、この枝振り。幾星霜、この土地で近在の人々を見守って来た巨木。あの鳥居が嘉永4年(1851年)、左手の灯籠が文化9年(1812年)。丁度200年前。この巨木の樹齢はそれ以上でしょうか。
日本人は、このような巨木に神性を感じ、崇敬します。巨木は、神そのものであったり神とつながっちょったり。
たとえば、瀬戸内海大三島の大山祇神社には、神武東征の際に瀬戸内海の安全を確保した小千命(大山祇神の子孫)お手植えと言われるクスノキの巨木が屹立しちょります。
こないだ登った三嶺の原生林には、ブナやトチなどの巨木があり、おもわず拝みたくなります。
対照的なのはアメリカ。有名な、地球上でもっとも大きな生命体とも言われるセコイアデンドロンの巨木には、南北戦争の北軍の将軍の名前が付けられ「シャーマン将軍の木」と呼ばれますし、ジャイアントセコイアの巨木には同じく南北戦争の英雄の名が冠せられ「グラント将軍の木」と呼ばれます。
日本では、存在感がある巨木に人間の名前が冠せられるということはメッソ無いようです。そんな恐れ多いことはできんがが日本人の感性。巨木を前にしたとき、大自然の偉大さに日本人は恐れかしこみ、そこに神を見ます。人間がいくら頑張っても、大自然より偉大なことは有り得ないという感性。