やなせたかし・ごめん駅前公園〔7498〕2023/10/26
2023年10月26日(木)晴れ!
やなせたかしさんが少年時代を過ごしたのは、後免。幼くして父を亡くし、母が再婚した為に、後免にあった伯父、柳瀬寛さんの家に預けられて18歳まで、城東中学校を卒業するまでを過ごしたのでした。その柳瀬医院と跡地はアンパンマンミュージアム振興財団に遺贈され、こんな感じで「やなせたかし・ごめん駅前公園」になっていることを知っている高知県人はどれくらいいるだろう。ご近所の方以外にはほとんど知られていない、公園。結構広くて、アンパンマンとかも座っているベンチも整備されてます。
さて。ここは、JR後免駅と後免商店街との間に、あります。朝ドラ「あんぱん」では、多くの観光客さんが香北のアンパンマンミュージアム方面へと行かれるでしょうが、やなせさんの心の故郷は、ここだ。今、南国市観光協会さんとかも、いったいどうしたものか思案しておられるとのこと。なかなか、核になるものも素敵な町並みも、なかなか思い付かない後免の町。
この公園周辺は、なんとかするでしょうね。駐車場もないし。
JR土讃線でアンパンマン列車に乗ってきた観光客さんは、後免駅で下車し、この公園を通って商店街へ。商店街は「やなせたかしロード」。で、海洋堂に寄って、後免町駅で路面電車を堪能しといて、アンパンマン電車に乗って高知市内へ向かい、宿泊する。そんなルートは思い浮かぶね。典型的な地方のシャッター街になっているやなせたかしロードをどうするか。さて。ここが思案のしどころだ。雰囲気を逆手に取ってレトロ商店街にする、という手法は、いろんなところでやってます。今回は、とにかく「アンパンマン」でしょうねー。観光客さんが驚く、感動する、また来たいと思う、後々まで続くような、仕掛けだ。僕には思い付かんけど、例えば、たくさんのお店でいろんなアンパン売っている「アンパンロード」にするとか。いかん。発想が貧困だ。
ただ、大切にしたいのはやなせたかしさんの、想い。
やなせさんは、幼少期を共に過ごした最愛の弟を、戦争で亡くしています。そんな弟さんを思い出しながらつくった詩「道信山の夕やけ」が、この公園の案内板に、書かれていました。
道信山の夕やけ
ぼくと弟が少年時代をすごしたのは
その大部分は高知県南国市後免町だった
日本珍駅名集をひもとけば
四国の土讃線に駅員が一日中
「ごめん・ごめん」とあやまっている駅がある
とかいているが
その「ごめん駅」は我家から直線距離で
約二百メートル
あいだは一面の菜種畑だった
その畑のまんなかに
小高い丘がある
その名もかわいい道信山
山というにはちいさすぎる
香長平野のまんなかで長宗我部氏の古戦場
おそらく無名戦士の首塚なのだ
道信山と畑とが
おさないぼくらの戦場だった
ぼくも弟もへこ帯で覆面して
竹の棒きれふりかざし
朝から晩まで剣劇ごっこ
身体はすり傷、ひっかき傷
道信山からころげおち
鼻血だしたり、腕おったり
ヨーチン、赤チン、オキシフル
いつでもどこかにぬっていた
剣劇ごっこというものは
やっているうちに真剣になる
ぼくは弟をなぐりすぎ
本当のけんかになったこともある
しかし
もしも外敵がぼくをおそうことがあれば
弟は絶対にぼくの味方だった
ぼくはあんまり強くなかった
ぼくがやられそうになったとき
がんばるのはむしろ弟だった
道信山の夕やけに
兄弟ふたり孤立して隣の村の子どもらと
けんかした日をおもいだす
死ねばいっしょとおもいつめた
弟の目をおもいだす