妄想を検証する〔7493〕2023/10/21
2023年10月21日(土)晴れ!
今から8年ほど前、室戸岬の「御厨人窟(みくろど)」で、へんてこりんな妄想を暴走させたこと、ありました。
御厨人窟は、言わずと知れた空海さんゆかりの洞窟。若き日の空海さんが著した「三教指帰(さんごうしいき)」序文に、御厨人窟で悟りをひらいた瞬間のことが書かれています。現代文に訳したページをみつけたので、そこから転載しますと。以下転載。
二十歳を過ぎる頃には生きることとは何かを求め、寺院を巡り、経典を読み、各地の山岳を修行の場としていました)
そのときに出会った一人の修行僧が私に「虚空蔵(こくうぞう)求聞持(ぐもんじ)の法」というのがあることを教えてくれました。その法を説く経典には「もし人がこの法によって虚空蔵菩薩の真言一百万回を百日間にわたって唱えたならば、たちまちにあらゆる文章を暗記し、その意味を理解することができるようになる」ということが書かれていました。
そこで、ブッダのその言葉を信じて、木を擦って火を起こすように少しも怠ることなく、阿波の国の大滝岳(たいりょうのたけ)によじ登り、土佐の国の室戸崎(むろとのさき)で一心不乱にこの修行に励みました。すると、(山中で真言を唱えていると、そのこだまが)谷に鳴り響き、(岬の洞穴に座って、広がる空と海に対峙し、真言を唱えていると)虚空蔵菩薩の化身とされる夜明けの明星が私の体内に飛び込んできたのです。それが、真言一百万回目の成就の証しであったのです。
以上転載
空海ゆかりの場所、伝説の土地は数々あるけど、御厨人窟は、間違いなく空海が修行した場所。
8年前の妄想では、ひょっとしたら夏至の頃合いに朝日が洞窟に差し込み、それが明けの明星と一緒になって、そして空と海が一緒になったのではないか、などと書いた訳です。もし、夏至の頃の明けの明星だとすれば、空海が修行に出てた時期に鑑みて、西暦794年6月の夏至の頃だったのかも知れない、という妄想。
そこで今朝、御厨人窟から日の出を見たとすれば、それはいつ頃なのかを確認してきたのでした。御厨人窟の中に入って、スマホのコンパスを見る。ちなみに、夏至の頃の日の出は、真北を0度とすると約60度。
結果は、御厨人窟から見る方向は約80度でした。残念。夏至の頃でも、洞窟の入り口あたりには差し込むけどね。
おっと。コンパスの指し示す方向は「偏角」があるからそれも確認しとかなくっちゃ。地理院地図を見ると、7.3度の偏角だ。と、言うことは、72度くらいが御厨人窟の向く方角が本当なんでしょうかね。知らんけど。
ともあれ、空海さんが明けの明星を見た時期がわからんことには妄想に過ぎない、ということが確認できました。
それにしても御厨人窟。2013年に入洞した際には普通に入れたけど、その後落石の危険があるということで入洞できんなり、今は、こんな感じで、入り口に岩石除けの構築物が建ってます。
そして、空海が見た風景は、室戸岬の隆起により、今よりも数メートル低い、海岸に近い風景だった、という話も幾度か書きましたねー。書いた頃は、そんな説明版はなにもなかったけど、今は、立派な説明版が掲げられているのでした。
妄想は妄想として、空海の時代に思いを馳せ、空海になったつもりで洞窟に入り、空海になったつもりで空と海を見るというのは、大事なことだと思う、朝。