人新世〔7418〕2023/08/07
2023年8月7日(月)雨
台風6号の影響が気になるところ。昨日の牧場まつりは無事開催されて良かったけど、高知県人の関心の的は、よさこい前夜祭、花火がどうなるか。本日には決まるんでしょうね。さあ。どうなるんだろう。それにしても恨めしい台風6号。
本社棟前の田んぼは、台風接近を前にして稲刈りが完了。台風前にできて良かったですねー。朝から雨降る月曜日。
で、今朝の新聞に、こんなコラムが載ってました。「人新世と環境主義」。かの、山極寿一先生の、コラム。山極先生は、言わずと知れた元京大総長。我らが尾池和夫先生の、次の次の総長。さすがに、なかなかいいことを書いておられます。
さて。以前、このにっこりでもチバニアンという地質年代について書いたこと、あります。地質年代と模式地を決定するのは、国際地質科学連合という組織。その組織が、77万4千年前~12万9千年前の千葉県市原市の地層を模式地として「チバニアン」という地質年代を決定したのは2020年のこと。この地球で、最後に地磁気逆転がおこった証拠が、その千葉の地層にハッキリと残っているんだそう。
で。先月12日に開催された国際地質科学連合の作業部会が、1950年代以降を「人新世」とする、と発表しました。なるほど。人類の活動の影響が、地層に明確に刻まれている、ということで決められた「人新世」。この「人新世」という言葉は、2021年に新書大賞を獲得した「人新世の資本論」とかで、日本でも広まってきた言葉。これを「ジンシンセイ」と読むのが普通みたいやけど、僕は「ヒトシンセイ」と読む方が、その性格を正しく表している気がします。どうでもいいですが。
僕も「人新世」という言葉が最近使われるようになってて、現在の人類の営みに警鐘を鳴らすものとして、人類の愚行を揶揄する言葉として、受け取ってました。それが、正式に地学用語として決定された、という話なので、ビックリ。
今回、国際地質科学連合が決めたのは、1950年代以降が「人新世」である、ということ。人類の行為が地球環境に大きな影響を与え、その結果が地層にも現れている、それが「人新世」。それで言えば、山極先生も18世紀の産業革命以降が相応しいんではないか、と考えてたみたいやけど、決まったのは1950年代以降。確かに、劇的な地球環境の変化がありましたもんね。人類の営みによって。
「人新世」という用語は、2000年頃から提唱されるようになりました。で、今回、正式に地質時代の区分として認められた訳やけど、その「国際標準模式地」は、カナダ、オンタリオ州のクロフォード湖。湖底から採取された堆積物が、人為的な環境変化を年単位で証明している、というのが選定理由。「安定した完新世の状態を終わらせ、新たな時代の始まりを示す証拠となる」という言葉は重いねー。完新世、終わったのか。1万年続いてきた完新世が、僕らの時代に、終わったのか。
昨日、8月6日は広島に原爆が投下された日。そんな愚かな人類の営みも、地層には、完新世最後の愚行痕跡とし、てハッキリと刻みこまれているのでしょう。