阿蘇山巨大噴火は、いつ〔6763〕2021/10/21
2021年10月21日(木)晴れ
阿蘇山、噴火しましたねー。今のところ、まだ水蒸気爆発で、大噴火につながる可能性は低いとは言われてるけどもわかりません。そう。こういう事象は、予想するのが本当に難しいから。地震と噴火は、本当にわからない。正確な予報ってのは、たぶん不可能だろうということが、今はわかってきてるくらい、わからない。
阿蘇山って、巨大な外輪山のイメージが強い山ですね。カルデラ火山。昔、僕も無邪気に、あの外輪山は大爆発した山の痕跡で、あの外輪山をそのまま上に伸ばした巨大な富士山みたいな山があったのではないか、と想像したりしてたのでした。吹き飛んだ山体の痕跡が外輪山だと。思えば可愛い想像やねー。
カルデラってのは、地中のマグマが爆発的に噴出し、そのマグマがなくなった空洞に上の地面が陥没してできるもの。その噴出はいろんな場所で起こり、いくつもの小さな火山が並ぶ。で、その火山と火山の間を火砕流が埋め尽くして同じ高さで並んでるのが、外輪山。巨大火山が吹き飛んだ痕跡ではないのだ。でも、ひょっとしたら現実は、それよりも恐ろしい。
「火砕流で埋め尽くされた」という表現でわかるように、巨大カルデラ噴火では、すさまじい量のマグマが噴出し、巨大火砕流が発生するのであります。富士山の噴火も怖いけど、箱根山のカルデラ噴火がもっと恐ろしい、というのは、そういうこと。
一番最近におこった巨大カルデラ噴火は、今から7300年前。そう。縄文時代。多くの人々が日本列島で暮らしていた時代に、鬼界カルデラが噴火したのでした。鹿児島の南のカルデラね。この巨大噴火で、発生した火砕流は軽々と海を渡り、薩摩半島と大隅半島が覆い尽くされたと言います。そのエネルギーは富士山お噴火の1000倍。それにより、列島の他の地域よりもかなり進んだ縄文文化を持っていた南九州の縄文人が絶滅したこと、わかってます。そして、その後、列島の他地域と同じくらいまで後退してしまった縄文文化。これ、発掘で証明されてます。
もし、今、そんな噴火が起きたらと考えるだに、恐ろしい。そして。
そういった規模の巨大カルデラ噴火が、過去12万年で少なくとも10回以上、日本列島で起こっておるのであります。一番最近のが、7300年前の鬼界カルデラ噴火。で、その間で一番大きかった噴火が、9万年前の阿蘇山の巨大噴火なのでした。その際に噴出したマグマの総量は1000立方キロメートル。鬼界カルデラ噴火が500立方キロメートルなので、その倍だ。瀬戸内海を埋め尽くすことが可能な量と言えば、その凄さがわかるでしょうか。
阿蘇山は、14万年前と27万年前にも、巨大カルデラ噴火を起こしてます。9万年前の噴火で発生した火砕流は海を超えて山口県まで達しました。海を簡単に越える火砕流。9万年前は、まだ、日本列島に現生人類は存在してなかったと思うので、人的被害はなかったけども、凄まじい。
もし、今、そんな噴火が起きたらと考えるだに、恐ろし過ぎる。
27万年前、14万年前、9万年前。
これは、またいつか阿蘇山が巨大カルデラ噴火を起こすことを明示していると思うのが、普通でしょう。ここで打ち止め、と考える方が、無理がある。
そんな訳で伊方原発で訴訟があった訳やけど、現在のところ、こういう数万年スパンのリスクは考えても仕方ない、という考え方が、一般的なんですね。それをどう考えるか。数万年に1度やもんねー、と考えるのか、数万年に1度は必ず発生する、と考えるのか。
と、言うか、巨大カルデラ噴火のこういったリスクが存在する、ということを、こういった専門家の信頼できる本で読んでおくのは、重要だと思う。
「富士山大噴火と阿蘇山大爆発」「火山大国日本 この国は生き残れるか」。巽好幸先生の本には説得力があります。