ひまわり文庫、2020年2月の新刊〔6135〕2020/02/01
2020年2月1日(金)晴れ
2月になりました。春遠からじ。
そんな訳でひまわり文庫2月の新刊と参りましょう。
上端。こないだもご紹介しましたね。中学高校、果ては大学も一緒だった森岡浩くんが一人で編纂した「名門・名家大辞典」。NHKの「日本人のおなまえっ!」という人気バラエティ番組で、名字研究科として登場しているマニアなマニアな人物は、同級生。こないだ同窓会に来てまして、この本を頂戴してしまいました。ありがとうございます。
いやー、すごいね。こんな本、一人で編纂するなんて、常人には無理。森岡くんは、ある意味、超人だ。
こんな感じでいろんな本書いてるので、みなさんも、是非、買ってやってください。しかし彼がこんなメジャー番組のレギュラーになるなんて。感慨無量。
その右。「土佐の山城」。こないだからお世話になってる、高知県埋蔵文化財センターの松田所長さんが編纂した、土佐の山城の解説本。これもまた、すごい。50の、山城。そして23の城址の発掘調査結果などを、詳細にまとめてます。これをガイドブックにして城址をたつくると、また、今までとは全然違う風景が見えてくると思う。
行ったことのある城址って、少ないです。僕は、城址に関しては全然素人であることが、わかりました。この本、とても良く売れてるそう。嬉しいっすね、それも。
中段右端は、西郷信綱さんの名著「古代人と夢」日本の古代人にとって、夢は、運命を占うものであったり、信仰のひとつの形であったりした、重要なもの。古代人と夢の関わりを、夥しい文献資料から読み解いた古典的名著。面白い。岩屋と観音信仰の話なんか、なるほど、と思わせてくれます。
こないだ、馬場孤蝶さんの「明治の東京」を読んだことから、僕に昔の東京風景ブームがやってきた。この田山花袋さんの「東京近郊 一日の行楽」も、明治期の東京がどんな風景であったのかを教えてくれる貴重なレポート。さすが文筆家で、その見事な表現力が、往時の東京の風景を蘇らせてくれます。この本片手に東京を走ったり歩いたりしてみたい。してみよう、今度。
あまりにも有名な国木田独歩の「武蔵野」。これは小説なので、「明治の東京」や「東京近郊 一日の行楽」とは違うけど、これはこれで美しい文章によって明治期の東京の風景を見せてくれました。ここで描かれている美しい武蔵野は、今の渋谷近くだったりします。東京変化の激しさよ。国木田独歩さん、今の渋谷見たら腰抜かすでしょうな。田山花袋さんも馬場孤蝶さんも。
今回、出張の移動中に読むのに買ったミステリは、古典中の古典、「モルグ街の殺人・黄金虫」。ちょっと古典すぎて、今の複雑でスマートなミステリに比べてしまうとシンプルなストーリーが多いけど、ポーという人物は1809年ー1849年という時代の人物ということ考えると、彼が創り上げた推理小説の世界って、すごいと思う。
収録されてる「黄金虫」や「盗まれた手紙」は、少年時代に読んで覚えてます。こないだ読んだ暗号解読の本に、この謎解きのこと、出てきましたね。
。「風の谷のナウシカ」と宮崎駿さんの作品群について、社会科学的に考察してます。高知新聞の書評欄にあったので、書いました。
改めて、宮崎駿さんの思想のすごさ、先見性を実感してます。
「カリオストロの城」が興行的に失敗した後、3年間、アイディアを書き散らしながら過ごしたと言います。そのときのアイディアが、ナウシカから後の名作の数々を生み出したようです。
マンガ版「風の谷のナウシカ」を読んだのはついこないだのこと。
マンガ版は、1982年に連載が始まって、完結したのは1994年。なんと12年かかってる。マンガ版のシリアスさ、深さ、深刻さはすごいものがあります。
この12年の間に、「天空の城ラピュタ」とか「紅の豚」とか、痛快な名作映画が作られてます。映画制作の合間に、シリアスなナウシカを描く。そうか。宮崎駿さん的には、深刻な部分をナウシカに凝縮していくことで、痛快なラピュタや紅の豚をつくることができたのかも知れん、などと思いました。
今回、少し新刊が少ない感じなのは、「すごい!物理学講義」を読むのに時間を要したから。
こないだ12月の新刊でご紹介した「時間は存在しない」の著者、カルロ・ロヴェッリさんが、その専門とする「ループ量子重力理論」を解説してくれてます。
この難解極まりない理論を、素人の僕にもわかったような気になるように解説してる、この本。この書き手、すごい。
アインシュタインの相対性理論と、量子力学。この二つの極めて重要な理論は、今まで、両方を成り立たせることは難しいと言われてました。両方なり立たせようとすると、矛盾する。それを解決していく統一理論が待望されてた訳だけども、その有力候補として注目されてるのが、ループ量子重力理論。
この理論、日本ではあまり馴染みがない。日本では「超ひも理論」が圧倒的に人気がある。超ひも理論も、この宇宙を記述する有力な理論だけども、ループ量子重力理論とは対立しているんですね。
この本を読むと、「無限」を廃し、すべてが「粒」からできているとするループ量子重力理論の方が説得力あるみたいな気がしてくるけど、これは書き手の力量のせいなのか。
古代ギリシャ、アブデラのデモクリトスが説いた、この宇宙は粒でできている、という見識がいかに偉大であったか、という話から始まる、佳い本でした。今月の一押し。
そんな訳で、2月になりました。
今朝は、結構冷やい。この冬にしては珍しい、冷やい朝。氷点下まではいかんと思うけど。そしてもう、春も近い。
さあ。今月も、ジャンジャンバリバリ前へ前へ。