ひまわり文庫、2017年8月の新刊〔5229〕2017/08/09
2017年8月9日(水)夏晴れ!
夏らしい青空。今晩花火で、明日明後日よさこい本番。良いと思います。お祭りらしい、夏の空。
で、少し遅くなりましたが8月の新刊。夏空とは関係ないけど。
今回遅くなったのは、少し、読むのに時間がかかった為だ。遅くなったのは、普段、あまり読まないようなジャンルのものが多かったせい。その理由は、我が敬愛する出口治明先生推薦の本が増えたから。だって、自分が代表の勉強会で出口先生に講演してもらったんだもん。
でもあれですね、読み慣れてないジャンルは、やはり、時間がかかります。勉強にはなりますが。
さて。左から2番目。
出口先生推薦の「1940年体制 さらば戦時経済」。元々、1995年に書かれた本で、日本の経済行政の体制は、太平洋戦争中に構築された戦時経済体制を引きずっている、それを打破しないと未来は無い、と警鐘を鳴らした本。戦時体制を今も引きずっている、というインパクトの強い問題提起。1995年からは随分と変化し、政治機構上は、かなり脱却した。しかし、民間企業が戦時体制を今も引きずり、それが日本経済の相対的低下を招いている、という論旨。なるほどね、という感じ。
因みに著者の野口悠紀雄さんにはお世話になってます。昔読んだ「超整理法」。その中の「押し出しファイリング」は、今もやってます。これをやるだけで、机の上が片付いていく。頭の中が片付いていく。これ、ホントです。
次は「クアトロ・ラガッツィ 天正少年使節と世界帝国」。これも出口先生推薦図書クアトロ・ラガッツィとは、四人の少年のこと。天正の少年使節については、小学生の頃、課題図書になったのを読んだ記憶がある。国際社会と戦国後期から近世に至る日本の政治情勢を詳しく分析しながら、当時の夥しい証言を織り交ぜて展開していく不思議な本。国際社会と日本の関係も、よくわかる。
「大君の通貨」も出口先生推薦。
幕末。金と銀の交換レートが国際社会と日本では違うところに目をつけ、大儲けを企む諸外国。の領事や外交官たち。幕末から明治初期、いかに当時の為政者が苦労したのか、ということが書かれてます。
こうやって見てくると、やはり、出口先生推薦の本は、国際社会の文脈で見る日本、という論旨の本が多いんだ。なるほど。そりゃあ、そうだ。
「天皇機関説事件」は、もう、タイトルそのまんまの本。ここから以降は僕の選書。
昭和史の中で、日本の立憲主義が崩壊していく有り様を、実証的に描写しています。現代のネトウヨなどの論調にも繋がる、天皇機関説。今の時代、今一度、勉強しておく必要があると、思う。
「物理学と神」「宇宙論と神」は、池内了さんの有名な、本。物理学や宇宙論が進展していくなかで、宗教は、それとどうかかわり、どう折り合いをつけてきたのか。そんな歴史を紐ときながら、読者に「神」とは何かを考えさせる。
実は、もっと踏み込んだ、最新の多次元無限宇宙論と神、みたいなのを掘り下げるのを期待してました。
右端は今月の万城目学。「ザ・万歩計」。万城目学が初めて出したエッセイ集。出張の電車車内で読むのには最適。お気軽極まりない。こんな本も読まないとね。脳みそが疲れるのでね。
最後。
左端。今月の新刊で、一番インパクトがあったのは、この本。最近、本屋さんの平積みでよく見かけますよね。この表紙と題名に惹かれ、金高堂さんで、ついうっかり買ってしまった。「毒々生物の奇妙な進化」。
クリスティ・ウィルコックスさんという女性生物学者が、世界の毒液動物について紹介している奇書。生物の不思議もさることながら、すごいことを研究している人が多いことに、まず、驚かされる。人間って、へんてこりんだ。
毒液生物研究者。ブライアン・フライという博士は、26種類の毒蛇に咬まれ、ムカデやサソリ、毒を持つエイなどに刺された経験を持つという。
ジャスティン・シュミットという昆虫学者は、「刺されると痛い昆虫」ランキングを作る為に、アリやハチなど78種の昆虫に自ら刺された変人だ。
ちなみに一番痛かったのは「サシハリアリ」だそう。
彼が開発した「シュミットの疼痛指数」では、刺されたときの痛みを0.0(無痛)から4.1(底知れない苦痛)まで分類しているそうで、4.0を超えたのはサシハリアリの4.0+のみとのことである。
でもこの昆虫は有名で、アマゾンの部族では、一人前の男になる通過儀礼として刺されなければならなかったりする。
毒液動物がどのように進化したのか、毒液研究が現代社会にどのように役立っているか、など、面白い話がたくさん書かれてますが、一番インパクトがあるのは、やはり、その研究者達ですな。
僕は、絶対になりたくないけど、そんな人が居るということは、理解できる。一番面白い生物は、ヒトかも知れない。
以上、ひまわり文庫8月の新刊でした!