隠岐、海士町、家督山〔3658〕2013/04/21
2013年4月21日(日)隠岐は晴れたり曇ったり
今朝も、まだ、隠岐、海士町。
昨日書きましたように、この町は奇跡の町。全国からIターンの優秀な若者が集まり、観光協会で働いたり起業したり、イワガキの加工施設で働いたり養殖をやったり。ここでは、町が、そんな環境を、圧倒的なやり方で周到に準備しちゅうので、他の地域がしゅっと真似しょうとしても、簡単ではない。
例えば、農業をやろうと思うと、コンバインやトラクターなどは町が安価に貸してくれます。イワガキの養殖をしょうとすると、養殖筏を町が準備して、貸してくれます。
ナマコの加工会社をやりたいと思うた若者には、もちろん事業計画を精査した上ですが、加工施設を町がつくって、貸し与えました。成功しちゅうので、結果的には、町にとっては非常にメリットになった訳です。しかし、ここまでやる町は、他にはないでしょうねえ。
昨夜、町長始め、役場の皆さんと、それにIターンの若者たちを交えて交流会をやりました。バイタリティ溢れる町長、役場の幹部、情熱と能力と夢をもった若者達。その迫力に圧倒されてしまいました。
昨日も書きましたが、すごいのは教育。県立島前高校のことは昨日も書きましたが、今時、こんな僻遠の高校で、生徒が急増、寮が足らんなっちゅうという話。県教委を待ちよったら間に合わんので、寮も、町が建てゆうそうです。
こう書くと、町は、かなり裕福なのかと思うてしまいますが、逆でした。今の町長就任の頃には、巨額の借金を抱え、夕張市みたいになるのも時間の問題とされちょりました。で、町長が給与を50%カット。それに管理職が同調して大幅カット。すると、組合から、自分達もカットしてくれ、という話がでて、その頃から役場の職員の意識が劇的に変わり、そして住民も、補助金を自発的に返納したりする空気が生まれ、財政は、ようやく改善に向かい、破綻の心配はなくなりました。
興味深いのは、そんな厳しい財政状況の中、県の非常に強い圧力に逆らい、町村合併をしなかったこと。漁協も、他の連合漁協への統合を拒みました。
結局、それが大正解やったと、町長はおっしゃっておられました。なるほど。情熱、先を見通す目の大切さ。上からの力に流されると、取り返しのつかんことになったりするので、気をつけんとイカンですな。
と、まあ、非常に濃密な夜を過ごし、アルコールもカロリーも十分過ぎる身体になったので、今朝は、早朝から海士町最高峰の山、家督山(あとどさん、標高264m)に、一気に駆け上がってきました。てっぺんまで小さな車道がついちょります。頂上には大己貴神が祀られる、信仰の山でもあります。
山全体が隠岐牛の放牧地になっちょって、高知の山地酪農のように、急峻な山で黒牛がのびのび放牧。走る道脇に、平気で草を食みにやって来ます。
そしてこの景観。
カルデラで、この右手が西ノ島。
初めてやってきた隠岐、海士町。後鳥羽院がこの海士町を行在所としたのは、涌水が豊かで過ごしやすかったから、と言われます。
かなり、良いところです。隠岐、海士町。