痕跡考〔3593〕2013/02/15
2013年2月15日(金)小雨
今日は、高知駅を朝5時発の特急に乗って、出張に出掛けよります。さすがにこの時間の特急、空いちょりますね。この車両には、小生の他、あと一人だっけ。静かな雨の中を走る特急列車。
さて、こないだうちから、高知の痕跡について、Facebookで書いてきよります。このにっこりひまわりで以前ご紹介したネタばっかしですが、Facebookでつながっちゅう方々には、結構新鮮な話にかありません。
そうか、世の中には、痕跡に興味があるヒトも居るがや。
痕跡とは何か、痕跡の楽しさは何か、そんなことを、今朝は考えてみましょう。早朝の静かな、しかしそこは土讃線ですき、かなり揺れる汽車の中で、徒然なるままに。
痕跡には、大きく別けて、3つの種類があります。あると考えます。
一つ目は、「へ~!知らんかった~型」。
自分の記憶にはない、昔の町並や地形、遺物の痕跡など。高知の城下町の、土塁の痕跡や池の痕跡などは、結構喜ばれます。何故かというと、いつも何の気なしに通り過ぎたりしゆう風景の中に、痕跡が隠されちゅうという意外性。よく考えると、ちょっと不思議な、違和感のある風景。その違和感の正体が解き明かされていく心地良さ。そして、目を閉じて(上級者は目を閉じなくても)、そこにかつてあった風景を想像し、妄想し、一人でタイムスリップして感慨に浸る。エツにイる。
二つ目は、「あ~!あったあった。そう言えば型」。
自分の記憶の中に残る風景で、今はもうすっかり変わってしまい、普段は気にもとめてない。しかし、ある日、その痕跡を見て、昔の風景が突然頭の中に蘇り、、一人でタイムスリップして感慨に浸る。エツにイる。
ここまでの二つは、タイムスリップして感慨に浸るような、自己満足型の痕跡。
三つ目は、少し重要。「キチンと残していかんといかん記憶連動型」。
このにっこりでも、何度かご紹介してきた戦争遺跡など。焼夷弾の痕跡、グラマンの機銃掃射の痕跡、米軍上陸に備えた要塞建設の痕跡などなど。身近に、今でも残るそんな痕跡は、身近に戦争があった、まぎれもなくあったことを、教えてくれます。戦争の記憶とともに、我々が次の世代へ残していく義務がある、そんな痕跡。
痕跡を知る方法は二つ。ヒトに教えてもらったり本で呼んだりする場合と、突然自分で発見する場合。
そりゃあ、嬉しいのは、自分で発見した痕跡。
痕跡を自分で発見する極意は、昔のこと、風景などを知っちょく、ということと、きょろきょろしながら歩く、走る、たつくること。あんましやりすぎると、ヘンなおじさんに見られたり、事故に遭うたりするき気を付けてください。
例えば、ここ。今朝の高知駅前。
南口広場から、南へ渡る歩道橋。この歩道橋を眺めながら、「そうそう、以前はここが電停やったねえ~」と想いだす。そう。想いだすがが肝心。肝要。そうすると、ひょっと、その痕跡が残っちゃあせんろうか、という視点で、今一度、その歩道橋を見てしまいます。そして。
ありました。
丁度、真ん中辺り。歩道橋の支柱の上。2m くらいの幅で、不自然な、普通ならあるはずのない四角い跡が、側面に見えます。そうか、以前はあそこから階段が降りて来て、下が停留所になっちょったなっちょった。あれがその階段の痕跡に違いない!と、昔の風景が突然頭の中に蘇り、、一人でタイムスリップして感慨に浸る。エツにイる。これが痕跡発見の醍醐味。
あんまし大袈裟に喜んだり声を上げたりすると、早朝とは言え、ヒトは通りますき、ヘンなおじさんに見られてしまうので要注意。
ちなみにこの痕跡は、もちろん二番目の型。これは、歴史や地形などの知識がなくても、誰でもその気になれば発見できるもの。痕跡研究を始めてみたい、と思う方がいらっしゃいましたら(おったらビックリ)、こんな感じで取り組んでみてはいかがでしょうか。などとイラん妄想に耽る、早朝の静かな汽車の中。