世界中の新井さんに〔5640〕2018/09/24
2018年9月24日(月)晴れ
「10年勝ち続ける強いチームの作り方」という本、このにっこりでご紹介したこと、あります。その中で提唱されるのが、ヘルプ・ザ・ヘルパーの理論。
以前、アメリカのスポーツ業界でブームになったのがセイバーメトリクス。様々なデータを駆使して、合理的にチーム作りを行う理論。パソコン片手に20代の若者がマネージングし、見事な成果を挙げるということで、話題になる。
一斉を風靡し、日本を含め、全世界のプロスポーツ、アマチュアスポーツに影響を与えたセイバーメトリクス。
でもね。皆がセイバーメトリクスをやりだすと、結局元の木阿弥。せっかく強くなっても、他チームがやりだすので、なかなか続かない、ということになってしまった。
そこで。ヘルプ・ザ・ヘルパー。
常勝チームの在り様を分析してみると、そのチームには、自己犠牲のもとにチームに影響を及ぼす選手が必ず居る、という話だ。数値には現れない。でも、実際にはすごい。チームの空気感をその選手がつくりだしている。
何が言いたいかというと、広島カープの新井さんだ。そう。今季限りで引退を表明している新井選手。彼こそ、広島カープのヘルプ・ザ・ヘルパー。
菊池選手が言うてました。
新井さんが自己犠牲のプレーをする。チームバッティングに徹する。誰よりも早く来て練習する。誰よりも手を抜かない。あれだけの実績のある選手がそれをすると、若手がやらない訳にはいかんなる。これだ。そしてベンチの中では誰よりも大きな声を出し、ベンチが暗くならないように盛り上げる新井さん。
カープの3連覇には、新井さんが必要だった。新井さんは、カープを強くするために帰って来た。新井さんがいなかったら、今のカープの雰囲気も、強さもなかった。これはもう、間違いない事だと思うのであります。僕は。
今、カープはチーム初の3連覇を達成しようとしてます。今まで、セントラルリーグで3連覇を達成したのは巨人だけ。いかに、勝ち続けるということが難しいか、よくわかります。
そんな訳で、新井さんがいなくなるカープがどうなるのか、僕は心配します。数値には現れない新井さんの力が、なくなってしまうのだ。新井さんの代役は、いない。いませんから。それが証拠に、新井さんが今季限りの引退宣言してから、カープは弱い。今日も負けて、優勝はお預け。新井ロスは、激しく厳しい。
カープには、また、新しい、そんな役割を担う選手がでてくるのか。こんな風にスポーツを観るのは面白いね。一般の社会でも同じだと思うから。
僕らも、新井さんが育つようなチームをつくっていきたい。
写真は、裏山の朽ちた倒木。肉眼では白いプツプツにしか見えないのをズームマクロで撮影。たぶん、キノコ類。粘菌ではなさそう。このキノコが、倒木のセルロースやリグニンを分解し、大地に戻してゆく。その過程で、樹木に固定化されていた二酸化炭素は空中に放たれ、大気のバランスを整えてゆく。地球環境は、そんな役割分担のバランスの上に成り立っている。
それぞれが、それぞれの役割を、果たす。目に見えないところで。誰に気付かれなくとも。
そうやって、自然界はまわり、人間社会もまわり、地球もまわってゆくのである。新井さんがいなければ、成り立たない。
世界中の新井さんに、バンザイ。