御荷鉾帯と八畝、怒田、LIPと棚田の関係〔4525〕2015/09/05
2015年9月5日(土)晴れ!
ここは大豊町。大豊町八畝(ようね)。谷の向こうの集落は怒田(ぬた)。八畝と怒田に広がる美しい棚田の風景。ここは、弊社の青汁「菜食健美」の材料である野菜の主産地。と、言うことで、何度かご紹介してきたエリアでございます。
あの怒田地区は、高知大学がフィールドワークを行っておりまして、これからの中山間がどうやって生き残り、栄えていくかを考える場ともなっております。
で、地学。
あ、そこの貴方、読むのをやめない!今日はちょっと、面白い地学ですき。いやホント。小生は大阪市長と同じくらい正直者です。
四国の山中は、どんどんと奥深く入っていっても、棚田があって集落があります。こんな山奥に、とびっくりするような場所に突如としてひらける棚田。人間の営みに感心してしまいます。
そんな棚田は、地質学的に、できるべくしてできた、つくられるべくしてつくられた、ということが判ってきちょります。つまり。
四国山地の地滑り地帯を調べてみると、中央構造線の南の三波川帯、そしてその南側の御荷鉾(みかぶ)帯に集中しちゅうことがよくわかる。その理由は、その地層が脆い地盤の破砕帯であるから。で、地下水が豊富であることにより、地滑りが起こりやすくなる。
一度大規模な地滑りが起こると地盤は比較的安定し、緩やかな斜面になって、稲作に適した土地になってきた訳だ。
中でも、御荷鉾帯。御荷鉾帯に特徴的なのは緑色岩類。その緑色岩類からは粘性のある土壌ができる。つまり保水性の高い土壌。豊かな水と、保水性のある土壌。比較的緩やかな斜面。これはもう、棚田をつくってくれ、と言うておるような地形地質であるのでありますね。
そんな訳で、非常に細い幅で東西に延びる御荷鉾帯に、棚田が形成されちゅう、ということがわかりました。なるほど。すごい。
この、八畝、怒田は、まさに御荷鉾帯に、ある。昨年の豪雨で、地滑りの危険によってしばらく避難指示が続いたのは、あの怒田の一部ですが、その理由は、そこが御荷鉾帯であるからなんですな。
御荷鉾帯を西へ行けば、本山町に入って木能津、吉延、大石と延びてゆく。
ああ。あの、有名な吉延の棚田も、御荷鉾帯の為せる風景だったのか。完全に理解できました。
その御荷鉾帯、みかぶ帯、これはなかなか貴重な地層であることが判っちょります。日本では唯一の、LIPによってつくられた地層。LIP。超巨大火山。
こないだ、プルームテクトニクスについて書きましたが、地球のマントル対流を引き起こすプルームテクトニクスの理論。
マントル下部から風船のように浮き上がってきた高温のスーパーホットプルーム。それがプレートを引き裂いて地上に吹き出るとき、超巨大火山が形成されることがある。
現在のシベリアの洪水玄武岩をつくることになった、2億5000万年前のスーパーホットプルームによる超巨大火山は、とんでもない規模の噴火を200万年も続け、地球上最大規模の生物大量絶滅を引き起こした、という話はこないだも書きました。
いくつか、過去の地球にはスーパーホットプルームによる超巨大火山ができちょりますが、日本列島をつくる地層の中に、ただ一つ、その超巨大火山によってつくられた地層がある、とされ、それが御荷鉾帯なんですな。
四国山中の美しい巨大棚田。
それは、太古の昔、マントル下部から浮かび上がってきたスーパーホットプルームがプレートを突き破ってつくった超巨大火山(LIP)が御荷鉾帯を形成、その地層があってこそ、初めて作ることが可能となった巨大棚田、という訳だ。
美しい棚田の風景は、地球の悠久の活動が引き起こした奇跡によって、つくられたもの。すごい。そしてそこから、ひまわり菜食健美がつくられる。
地学は、感動的ですら、ある。