吾輩はヤギである。名前はまだ無い。〔4504〕2015/08/15
2015年8月15日(土)晴れ!
吾輩はヤギである。名前はまだ無い。
吾輩などと言うと誤解を招くが、立派なメスのヤギである。企画の都合上、堅いことは言わない言わない。
昨日、娘と一緖にここへやって来た。ひまわり乳業という牛乳屋の、本社屋の裏だ。すぐ横が社長室。まあ、社長はロクに部屋に居ないので関係ないが。
昨日の朝までは、近くのヤギ牧場に居た。たくさんの仲間と一緖に。それがだな、昨日の朝になって、突然、娘と一緖にここへ連れて来られたのだ。迷惑も甚だしい。どうやら、ヤギ牧場主のお兄ちゃんと、ここの社長がつるんでおるらしい。ケシカランことだ。
昨日の今日で、まだまったく慣れてない。目の前の駐車場に車がやって来たり、人が通るたびに、気になって気になってメヘヘヘヘヘ〜、と鳴いてしまう。だいたいからして、牛乳工場というものは、夜中から動いておるので、人の出入りが夜中にもあるのだ。やめてもらいたい。
時折、このすぐ近くの高架を土佐くろしお鉄道の汽車が走り抜けるのだが、これにはオジる。これもやめてもらいたい。
そもそも日本人というものは、ヤギの乳を飲んでおったらしい。「子供の頃、ヤギを飼いよって、よく飲んだ。」という方々は、その年齢がわかろうというものだ。おいしかった、という人も居るが、臭かった、という人も多いので、大いに迷惑しておる。
人間と一緒で、何を食するかによって、その乳の風味は全然変わってくるのだ。吾輩たちが居た、南国市の川添ヤギ牧場は、そもそも餌が違うのである。
牧場主のけんたろうおにいちゃんは、かなりのマニアである。そしてとにかく働く。
ヤギを飼い始めてからまだ3年にもならん。最初は素人であったが、今ではいっぱしのヤギ飼いになっておる。とにかく働く。
最近は、牧場の周りの農地を借りまくって、そこに、牧草を植えておる。それだけではなく、餌用の米なんぞも作り始めた。マニアである。まったくのマニアである。そしてとにかく働く。
若い牧場主のけんたろうお兄ちゃん、吾輩たちの食べるものを、全部、自分で作って賄おうとしておるのだ。業界用語では「100%自給飼料」と言うらしい。これは、とんでもないことだ。
普通は、外国から輸入してきた安い飼料を使うのである。その方が安上がりなのは言うまでもない。当然だ。
それを、自分の家の畑で作ったものだけにしよう、というのであるからとんでもない。
吾輩たちは、業界用語で「粗飼料」という草の類と、これまた業界用語で「配合飼料」という穀類の餌を食べる。両方、要るのである。草と穀類。両方必要だ。
「粗飼料」はまだしも、穀類は、輸入のトウモロコシや大豆などを使ってあるものが安いに決まっておる。遺伝子を組み替えたりできるから、と、モンサントの人が言っておった。
それを、全部自分で作ってしまおう、というとんでもない野望を抱いたのが、普段は優しそうなトボケた顔をしておる牧場主のけんたろうお兄ちゃんなのだ。ヤギは見かけによるが、人は見かけによらん。
話が長くなったが、吾輩たちが食べておる餌が、そもそも違う、ということを言いたいのである。話が長い、くどい、読みづらい、というのは仕方ないのだ。
とにかく、餌が違うので、ヤギ乳独特のコク味がありつつ、臭くないのだ。このヤギ乳を、君たち一般の皆さんが飲めるようにしようと、うちの牧場主と、ここの社員がこっそりと画策しておるらしいのだ。なんか、商品の告知広告みたいになったが、気にしてはいけない。
吾輩たち母娘がここに連れて来られた理由。それはだな、こういった訳だ。
夏になって、駐車場の周辺とかにたくさんの雑草が生い茂り始めた。草刈りが大変である。そこで、楽をしようと考えた男がおって、思いついたのだ。そうだ。ヤギに食べてもらおう!
そこで、社長とつるんでおるヤギ牧場のけんたろうお兄ちゃんに話を持ちかけ、乳を搾ってない種類の小さいヤギを借りてこよう、と話ができてしまったのである。
迷惑な話である。実に迷惑な話である。
まあ、吾輩たちにとって、これくらいの雑草はなんでもない。キレイに食べてあげようではないか。
ところで、冒頭に書いたように、吾輩にも娘にも、名前がまだ無い。
社内で公募しておるようだ。ここの社長が、「ヤーちゃんとギーちゃん」ではどうか?などと言うて社員にダメ出しをくろうておったが、頭の中がどんなになっておるのか見てみたいものだ。まことに迷惑な話である。
素敵な名前がイイな〜
だって、女の子なんだもん。