キノコと牧野博士と俳句と都々逸〔5233〕2017/08/13
2017年8月13日(日)今日も、あづい・・
日中はお日様ギラギラで、痛いくらいに暑い。
でも、早朝は涼しい風は吹くようになりました。朝晩涼しくなりました、などと言うけれど、晩はまだまだ涼しくない。涼しいのは朝。夜明け前のひととき。よさこいが終わった感が味わえる、そんな高知の早朝。
ここは潮江天満宮。拝殿の左手奥。左のコンクリートは、本殿の基礎部分。その横に、小さなキノコが生えていたので、撮影してきました。
この横には大山祇神社への参道入り口があり、その参道には、毎年、白い大きなキノコが生えてきます。今年も、7月18日のにっこりでご紹介した、白いキノコ。
それは猛毒のドクツルタケなのか、食べられるシロツルタケなのかは僕にはわからない。謎の白いキノコ。だからこの小さい白いキノコも、食べてみるのはやめちょいた方が、良い。
ところで。
昨日の午後走ってきた牧野植物園。南園の奥に、牧野富太郎博士の像がある。ご存知ですよね。
南園は、昭和33年、牧野植物園が開園した当初からある植物園。その奥の、牧野博士像界隈は、僕らが子供の頃、ボール遊びなんかができた場所。今は植物が密集整備されていて、ボール遊びなんかしようものなら叱られてしまいますが。
その牧野博士の銅像では、右手に何か細いものを持ってます。遠くから見ると、何か、研究に使う道具かな、と思うのですが、近寄って見てみると、キノコだ。
偉大なる植物分類学者、牧野博士が手にしているのが、キノコ。
ポピュラーな、もしくは重大な発見につながるような植物では無いんだ。
そのキノコはカラカサタケなんだそうですな。何故、カラカサタケなのか。それは、カラカサタケの別名がニギリタケで、牧野博士、こんな句を詠んでいるから。
にぎりたけ にぎりがいなき ほそさかな
牧野博士は、その人生の中でたくさんの句を詠んでます。一番有名なのはこれでしょうか。
世の中の あらん限りや すえ子笹
牧野博士は、経済観念がまったく欠落した、研究命の男。その男を支えたのが妻の壽衛さん。54歳という若さで壽衛さんが亡くなったときに詠んだのが、この句。
スエコザサは、博士が発見した新種のササで、妻の死を悼んで、スエコザサと命名したと言われます。
そんな句に比べると、にぎりたけの句は、夏井先生に叱られそうな気もしますが、どうなんでしょうか。そう。博士は、俳句は好きではあったが、あまり得意ではなかったという評価が一般的なんですね。では何が得意かというと、都々逸。
生涯をかけてたくさんの都々逸をつくり、面白いものもたくさんある。
有名なのは、これ。
草を褥に木の根を枕 花と恋して 五十年
これはなかなか秀逸な都々逸だが、他にも、とても世間に公表できないような内容のものも多くつくっている、というから、牧野先生はおちゃめである。
広範な植物の知識と研究だけでなく、芸術、芸能、文章にも広く理解を示し、人生を楽しんだのが牧野富太郎という人物だったと思う。
大切なのは、たくさんのことに興味をもち、とことん深く掘り下げ、そして楽しむこと。
いろんなことに興味を持ちながら、仕事を深く深く掘り下げ、楽しむ。
仕事は、楽しくないとね。面白おかしい、という意味ではなくて。
人生の糧として、生きがいを感じられる仕事は、楽しい。