夏の工事現場〔5225〕2017/08/05
2017年8月5日(土)夏空
台風接近中ですが、まだ空は青空。
昨日の午後、大阪へ行ってました。坂出まで車で行って、マリンライナーと新幹線を乗り継いで。で、今日は逆ルートでモンてます。昨日は時間がなかったので、高知から坂出までは高速道路でしたが、今日は時間があるので、下道。国道32号線だ。
国道32号線は、琴平から猪ノ鼻峠を越えて阿波池田へ。そして大歩危小歩危を通り、高知へと向かう。
香川県と徳島県の県境には猪ノ鼻峠。現在、標高413mのところに猪ノ鼻隧道が通ってます。このトンネルが開通したのは昭和39年。それまでは、標高550mの峠を越える道を通っていた。その道路は「四国新道」で、香川の大久保諶之丞さんの発想と尽力でできた道。この大久保さん、すごい。
現在の国道32号線、33号線のルートを発案したり、瀬戸大橋を発案したり、香川用水を考えたりした人。明治時代に。
その大久保さんによって作られた四国新道の猪ノ鼻峠は、阿波から讃岐へタバコや薪炭などを運び、讃岐から阿波へ米や魚などを運び、更に金比羅参りの人々も往来する賑やかな峠になっていたという。その峠には旅館が数十軒も並んじょったと言いますき、すごい。
そこがそんなに賑やかになったのは、四国新道ができたから。
それまでは、牛馬も通れんような険しい山道で、人や物の交流もほとんどなかった、阿波池田と讃岐財田だ。
道路が全てを変えた。
でも。
昭和39年に現在の猪ノ鼻隧道が開通すると、あっという間に峠の賑わいは消え去り、旅館は消え、今は古びたお地蔵さんが残るのみ、だそう。今度、行ってみなくっちゃ。
そして。
その国道の猪ノ鼻トンネルルートも、高速道路が開通することで、交通量もめっきりと減りました。この峠道沿いにはたくさんのレストランや食堂がありましたが、箸蔵駅、箸蔵寺界隈を除いて、ぜんぶ、閉めてしまった猪ノ鼻峠。人と物の流れが変わってしまった。
そしてそして。
写真は、香川県財田から猪ノ鼻峠へと登り始めた国道32号線。ここで、しばらく前から工事やってます。最初は何の工事かわからんかった。
よく見てみると新猪ノ鼻トンネルの工事と書いてあるではないか。そうか。新しいトンネルが抜けるのか。
阿波池田側はどこへ抜けるんだろう。と、思いながら国道32号を走り、吉野川沿いの広い道路まで下ってくると、ありました。
「人と地域の未来を支える。猪ノ鼻道路」と大書された看板が。全長8.4kmの道路が完成するのは平成32年度の予定。その頃はもう平成ではないけどね。
このトンネルと道路が完成すると、阿波池田と香川県はそのまましゅっと、つながります。また、人や物の流れが変わるんでしょうか。
現国道沿いの風景も随分と変わることだろう。
牛馬も通らぬ山道。
旅館が数十軒も並ぶ交流拠点、賑やかな峠。
お地蔵さんだけ、残る。
猪ノ鼻トンネルと、国道沿いに並ぶドライブイン。
高速道路の影響。静かな峠道。
そして、新しい猪ノ鼻道路がつくられていく。そんな夏の風景。
兵どもの夢は、いろんな「跡」を残しながら、果てしなく続いていくのか。