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上倉の棚田と「食育」〔4245〕2014/11/29

上倉の棚田と「食育」

2014年11月29日(土)晴れ

昨夜はしっかり降りましたが、今朝出勤する頃には、雲間から星も見え始めちょりました。暖かい1日になりそう。
で、今朝、一仕事済ませてから、南国市の北部へ行ってみました。上倉。あげくら。6時前のまだ暗い時間帯。シャッタースピードを落として撮影してみましたが、ああ、ピンボケ。実際の風景はまだ暗いので、ピンとをよう合わさんかったがですね。ああ。
それでも、山間の風景の雰囲気はおわかり頂けると思います。

上倉は棚田の郷。この下の集落は奈路。小学校もある、昔から栄えた山間の集落。そこから谷を下っていくと亀岩。亀岩、奈路、上倉は、ずうっと棚田の郷。

宮本常一さんの文章にもありますが、四国の山中、平野から谷筋にかけて、田んぼがこれでもか、と言うばあ延びております。平野が少ないので、少しでも田んぼをつくろうと、棚田を上へ上へ。そんな風景が、土佐の、いたるかしこで見ることができます。
平野から、有利な耕作地を求めてどんどんと上がってきたのでしょうか。
そう言えば、ここから下った平野部は久礼田、植田。昔から水争いが激しかったので有名。明治中期、甫喜ヶ峰疎水が穴内川から引かれるまで、水がこじゃんと不足した平野部。
そこに比べ、奈路や上倉は、谷筋の水が使える有利な場所であったのかも知れません。今も、美しい棚田が広がる風景は、水争いを避けてきた人々がつくった風景かも知れませんね。

四国の山中には、たくさんの棚田があります。弊社がケールなどの青汁原料の栽培をお願いしよります、大豊町にも、たくさんの棚田。使わんなった棚田を利用してのケール栽培が、今、軌道に乗っちょります。
そんな地区の一つに怒田(ぬた)があります。大豊町怒田。ここの棚田は素晴らしく、山の斜面が見事な風景を醸し出しちょります。しかし、その地区、この夏の大雨で大規模地滑りの危険性が増し、ついこないだまで避難指示が出されたりしよりました。

山奥で、平家の落人などが住み着いた場所にも、棚田が多いようです。都会から落ちて来た人々は、杣や木地屋、狩猟などの山仕事をするよりも、田んぼを開くことを選びました。そして、選んだ場所は、水の便の良い山の斜面。そんな場所は、例外なく地滑り地帯であるにかありません。棚田に有利な斜面は、地滑りが起きやすい斜面。水が湧き出るような斜面なので、よく考えてみれば当然。

棚田を開発していく、ということは、地滑りとの闘いであったのかも知れません。今、思いついたのですが、怒田という地名は、ひょっとしたらそんな難しい田んぼであったことを意味しちゅうがでしょうかね。いや、妄想です。

この上倉。南国市とは言え、かなり山深い感じの場所。棚田をつくるにも限界があったでしょうか。長宗我部地検帳では、田が二町五反で切畑が二町八反。大豆、粟、小豆などを作る切畑の方が多かった上倉。

ここの棚田は、実は、全国的にも注目されちょります。南国市の学校給食用のお米は、ここの棚田米が使用されゆうきです。平成8年から、学校給食に地元のお米を利用しよう、という取り組みが始まり、翌年から自校炊飯開始。炊飯器を教室の前の廊下に並べ、タイマーで、給食の時間直前に炊きあがるようにする。地元の米を、炊きたてで食べれるこの方式は、残飯率を激減させました。棚田での田植えや稲刈りも体験させ、食べ物の有り難さ、地元のお百姓さんへの感謝など、「食育」そのもの。
いや、「食育」という言葉を、初めて実地で使うたのは、南国市のこの取り組みやったと記憶します。

これを実現するのには、とてつもない労力と知恵を使いました。それまでの食材流通の仕組みや慣例など、打破しなければならない課題が山積。当時の南国市の西森教育長が、とてつもない想いと実行力でつくりあげた「南国方式」は、全国のお手本になりました。
弊社も、地元のブドウを使用したヨーグルト「まほろばグレープ」や、「十市のすももちゃん」などを共同開発して、協力しちょります。

棚田をつくる、ということは、大変な努力を要します。先人の努力、苦労によってつくりあげられた立派な棚田。その有り難みを実感しながら、美味しいお米を給食で食べれる南国市の児童達は、こじゃんと幸せなのでありますね。

新潟県のどっかの市長が、米飯給食に牛乳は合わない、食育の為に学校給食から牛乳を取りやめる、などというパフォーマンスを繰り広げております。結局、牛乳で摂取していた分のカルシウムなどの栄養価は補給できず(それだけ牛乳の栄養価とバランスのコストパフォーマンスが高いのでありますが)、それは各自の自宅でやってください、などと無責任極まりないことを言うておりますが、何より、その市長が「食育」という言葉を使っておったことに腹が立ちます。「食育」は、そんなに軽々しいものではない。
全国に先駆け、とてつもない努力のもとに地元米飯100%の給食を実現し、「食育」を定着させた南国市を一度見に来て頂きたい。何より重要なのは、子供達にとって、良い栄養バランスが供給されること。そして、地元やお百姓さんの大切さが理解でき、愛着が深まるように努力すること。それが「食育」。栄養バランスを置いちょいてパフォーマンスすることを「食育」とは言いませんきに。

この風景を見たら、そんな思いがこみ上げてきます。
棚田の郷、食育の郷、上倉。


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