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それぞれの楽しいよさこい〔3404〕2012/08/10

それぞれの楽しいよさこい

2012年8月10日(金)晴れ

昨夜は花火で、今日明日がよさこい本番。ここは、今朝の本部会場。たっすいがはいかんの右に、追手前高校の時計台が写っちょります。左側の建物は追手前小学校。来年3月で閉校、校舎も取り壊されるので、よさこい本部会場横にあの校舎があるのは今年が最後。

よさこい祭は、昭和29年、徳島の阿波踊りに対抗して、と申しますか、阿波踊りの観光客を引っ張り込もうという意図で、阿波踊りの直前に日程を固定し、商工会議所が中心になって始められたお祭り。最初はそんなことで、全国的に注目を集めるでもない、どこにでもありがちなお祭りでした。が、鳴子を持って踊らす、ということは画期的で、それが後になって効いてきます。

この本部会場の丁度まん中くらいに、それこそ本部審査場があります。そして、その本部の上のラッパスピーカーやこの道沿いに設置されたスピーカーから、武政英策さんがつくった正調のよさこいが流れておりました。そう。当時の踊り子隊は、ここ本部会場では、地方車から音楽は流さんかったのでありました。
丁度この辺りからスタートした踊り子隊は、本部が流す音楽に合わせて踊り始め、この道に流れ込んで行った訳です。そして、追手門の手前で終了。たぶん、ここがメインの審査会場で、公平を期すとか、いろんな思惑があったものと思われます。

しかし。

昭和40年代に革命が起きました。
新しい音楽にこじゃんと理解があり、多くのバンドマンを居候させておった市内の八百屋さん「青果の堀田」さんが踊り子隊を結成。地方車にかなりレベルの高い、ガイな演奏をする生バンドを載せたのでありました。演奏する音楽は、正調とは似ても似つかぬもの。そして圧巻はこの本部会場。

さっきも書きましたが、この会場では、本部が流す音楽に、踊り子隊が合わせていく、というシステムになっちょりました。その整然とした会場に、地方車に乗った生バンドが正調とかけ離れたガイな音楽を演奏しながら突入、本部の音楽を無視してやったもんですきに、みんなビックリ。当局は慌てました。事件です。慌てたことでしょう、まっこと。

しかし、そんなチームが出現してくることは想定もしておらず、従って規則にも書いておらず、黙認するしかなかったようです。当局は頭を抱えました。

そんな当局とは関係なく、そのチームを見た他のチームや若者達が、「あんなんかまんがや、ほいたら自分らあはこんなんでやろう!」と考え出し、その後、あっという間にバリエーションが広がって、何でもありのよさこい、となっていったのでありました。若者を中心に、よさこいが、とてつもない楽しみとなっていった訳です。もしそれがなかっらた、商工会主催の、どこにでもあるような、変哲もない地方のお祭りになっちょったのは間違いございません。

とにかく、次から次へと新しい試みが出てくるもんですきに、当局の規制が追いつかず、混沌とした楽しい状況が醸し出され、そしてあまりに楽しそうなので、全国にブレイクしていったのはご承知の通り。観光客誘致のお仕着せの祭りから、自分達が楽しむための祭へと変貌していったが故に、逆に観光客が集まってきた、ということになります。

そんな、よさこいが何でもアリであった、混沌とした楽しい時代、ひまわり太郎もバンドマンとして関わり、楽しみました。その中でも一番思い出深い事件は、ここ、本部の会場で起ったのであります。以前にもちょっとだけ書きましたが、今日はキチンと書きましょう。長いので、暇なときに読んでくださいね。

そのチームは、若者が多く、音楽は、バンドのTくんがつくった、ちょっとファンク系の乗りの良い曲。ホーンセクションを、私、やりよりました。Tくんはキーボード。で、2日間やりまくり、バンドもチームも盛り上がり、そして2日目の夜、最後の本部会場をむかえたのであります。
実は伏線があります。
その前に踊ったのが万々商店街。長い会場で有名。我々ホーンセクションは、トランスミッターで電波を飛ばし、地方車から降りて演奏。Tくんが興奮して地方車から降り、キーボードに長いケーブルを装着、まだ中学生やったと思いますが、若い衆に、両側から持たせて演奏し始めました。山下洋輔ばりのガイな演奏を信条とするTくん、そのキーボードの上に乗ろうとしたり暴れまくりました。それが伏線。

さて、本部で演奏を始めました。ここでは、全員地方車に乗って演奏しております。そしてTくん、ちょっと怪訝な顔をしております。後でわかったのですが、どうやらさっきのご乱行で、音が出なくなった鍵盤があったようです。それでも暫く演奏しよったのですが、ゴールが近づいてきた時、かれは地方車の上ですっくと立ち上がりました。そして。
彼は、そのキーボード、ヤマハのDX-7を、地方車からぶん投げたではありませんか。音が出ん鍵盤があるのに興奮したようです。車の横には、例の若い衆。Tくん、どうやらその若い衆の向こうへ投げたかったらしいのですが、キーボードにはケーブルというものがつながっちょります。それが引っかかって、空中で失速、若い衆の手前に落下。そして、地方車の下に転がったのを、地方車の後輪がメリっと踏んだのでした。一旦乗り上げ、乗り越えられずに少し後退、もう一度乗り上げ、そしてメリメリっと乗り越えていったのでありました。

ひまわり太郎、若い衆をカスめ、落下し、トラックに乗り越えられた場面の一部始終を、演奏しながら目を見開いて見つめておりました。演奏やめる訳にもいかんし。

Tくんは、地方車からキーボードを投げる男として名を馳せ、打ち上げの会場に、もはや音の出ぬオブジェとなったDX-7の残骸が飾られちょったのを、今でも覚えちょります。

よさこいを見ると、そんなことを思い出し、自分もまたやりとうなってマイマイするので、日中は近づかんようにしよります。

今日明日は、それぞれの楽しいよさこい。


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